皆さん,こんにちは。弁護士の堀繁造です。
【予納郵券】
前回,裁判費用として印紙代について説明させていただきました。
今回は,印紙代のほかに必ず必要となる郵便切手についてご説明いたします。
まず,なぜ郵便切手代を裁判所に納付しなければならないかといいますと,訴える者(原告)が訴訟を提起すると,裁判所は,訴訟の相手方(被告)などに対し,様々な書類を郵送(送達)することとなるからです。
裁判所から送達される代表的な書類には,訴状,呼出状,判決などがあります。
これらの書類を送達するたびに郵便切手を納付させていては,手続が煩雑になり時間もかかるため,裁判所は,予想される数回分の送達に要する郵便切手を原告に予め納付(予納)させるのです。
これを予納郵券といいます。
【特別送達】
裁判所が訴状等の一定の重要な書類を送達する場合には,特別送達という送達方法がとられます。
特別送達とは,裁判所が郵便事業社に委託して民事訴訟法に基づく一定の書類を訴訟関係者に送達し,郵便事業社が訴訟関係者に配達したことを裁判所に報告する制度のことです。
なぜこのような厳格な方法が取られるかといいますと,送達したという事実に極めて重要な意味があるからです。
例えば,訴状であれば,間違いなく相手方本人に届いたことを確認する必要がありますし,判決であれば,送達の日を基準に控訴期間等が定められるからです。
特別送達費用は1通につき1,200円(目安)です。
予納郵券の種類及び額は,裁判所ごとに定められています。
福岡地方裁判所の場合,被告1名のとき,予納郵券は6,000円です。
内訳も決まっていて,500円切手が8枚,100円切手が8枚,80円切手が10枚,20円切手が10枚,10円切手が20枚です。
被告が一人増える毎に,2,000円分の郵券を追加します。
【追加予納】
裁判が長引いたりして送達の回数が増えると,追加予納を命じられることがあります。
前回ご説明した収入印紙代と今回の予納郵券が裁判を提起する場合に絶対に必要となる費用(実費)ですが,実費自体は思ったよりも高くないと感じられる方が多いのではないでしょうか。
やはり,裁判費用で一番(関心が)高いのは弁護士費用と思いますので,次回は弁護士費用について簡単にご説明したいと思います。
回答者 弁護士 堀 繁造
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