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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成24年4月号》
離婚事件についてB

【初めに】
  皆さんこんにちは。
 弁護士の堀繁造です。
 今回は,離婚調停の流れについて,福岡家庭裁判所での調停手続を例にとってご説明いたします。  

【第1回離婚調停開始まで】
 まず,調停を申立てますと,期日が指定されるとご説明いたしましたが,調停の時間は,午前9時30分ないし10時開始で午後12時まで,午後1時10分ないし1時30分開始で午後3時まで,午後3時10分ないし午後3時30分開始で午後5時まで,のいずれかの時間が選択して定められます。
 調停開始の10分くらい前までに出頭するのが望ましく,出頭しますと,裁判所4階の調停書記官室へ行き,担当者へ出頭した旨を告げます。受付を済ませると,担当者からその事件の調停が行われる調停室の番号を記載した札を渡されます。家庭裁判所では,当事者のプライバシーを守るため,名前ではなく調停室の番号で呼ばれます。
 札を受け取ったら,申立人待合室で,調停委員から呼ばれるのを待ちます。待合室は,申立人と相手方とが顔を合わせないよう,別々の部屋が用意してあります。
 待合室で待っていると,担当の調停員が先ほどの札の番号で呼び出します。呼ばれたら,調停員と一緒に調停室へ向かいます。

【調停室に入ってから】
 調停室に入りますと,2名の調停員が待っており,まず,自己紹介が行われます。そして,調停手続のやり方と流れについて簡単に説明が行われ,最近は,その際に調停手続の進め方を印刷したプリントを渡されることが多いようです。
 その後,まず,申立人側から,離婚の調停を申立てるに至った理由について調停委員から質問を受けます。このとき,調停申立書を読んだだけでは分からない事柄について調停員からかなり具体的なことまで聞かれることが多いので,結婚してからの出来事について時間をおってあらかじめ考えて用意しておく方が説明しやすいと思います。また,最近は相手方にも事前に離婚についての意見を照会する文書を送り,回答をもらっているようですので,事前にある程度争点が判明していることが多いようです。
 申立人が最初に説明する時間は約30分程度です。相手方は,30分くらいずらして呼び出されており,相手方が出頭すると,調停室の電話が鳴ってその旨伝えられます。相手方の出頭が確認できますと,今度は相手方と入れ替わって,調停委員が相手方の言い分を聞きます。
 調停委員が双方から話を聞くことで,どこが当事者間で争いになっているのか,争点がだんだん明らかになってくるので,再度入れ替わってその点について聞かれることになります。
 よく問題となりますのが,@そもそも離婚に応じたくない,A離婚には応じるが,子どもの親権を譲りたくない,B離婚には応じるが,財産分与や慰謝料の支払いには応じない,というようなことです。

【その後の経過】
 第1回調停期日は,双方から事情を聞いて,調停での話合いを続ける場合には,今度どのような点を話し合っていくのか,また,必要な資料(例えば源泉徴収票など)を指示し,第2回調停期日を指定して終了します。
 相手方が調停期日に出頭しない場合でも,次回出頭の見込みがあれば,第2回調停期日を指定します。
 相手方が調停での離婚に応じる見込みが全くないような場合には,第1回調停で調停不調による不成立あるいは調停取下げとすることもあります。
 このようにして,調停が数度開催され,調停での話合いがまとまれば,調停離婚が成立し,話し合った結果調停がまとまらなければ,やはり不成立あるいは取り下げとなります。調停がまとまれば,裁判官立会いの下で調停調書が作成され,このとき調停離婚が成立します。あとは,調停離婚の事実を届け出ることとなります。
 調停が成立しない場合には,更に離婚訴訟を提起するかどうか決めなければなりません。

【最後に】
 調停は,あくまでも話合いですので,双方の合意がなければ成立しません。相手が納得しない場合には,調停終了後に離婚訴訟を提起することとなります。
 次回は,離婚訴訟についてご説明いたします。

回答者 弁護士 堀 繁造
堀法律事務所
弁護士 堀 繁造
福岡市中央区大名2-11-13古河大名ビル4F
TEL092-718-0029 FAX092-714-6881
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