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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成26年1月号》
ソフトウェア開発委託契約について(5)著作権について1

今回は、ソフトウェア開発における著作権の扱いについて説明をしたいと思います。
【はじめに】
ソフトウェア開発における契約書には、著作権等の知的財産権に関する条項が定められています。
 当事者がどの程度理解してサインをしているのかわかりませんが、過度に一方当事者に有利に作成されている契約書もあります。
 もっとも、そこまで厳密に運用されていないので、あまり問題となっていないのかもしれませんが・・
 知的財産権には、特許権なども存在しますが、ここでは、ソフトウェア開発に最も関係のある著作権について検討したいと思います。

【著作権とは?】
著作権とは、著作者が、その著作物の使用に関する権利が排他的に使用できる権利のことを言います。
 たとえば、Aさんが書き続けたブログについて、BさんがAさんの許可なくブログについて本を出版したり、映画化することはできません。
 著作権は、あくまでも著作者に帰属するのが大前提となります。

【ホームページ作成時の著作権の考え方】
私がホームページの制作をデザイナーCさんにお願いし、オリジナルの文書、写真、動きのあるキャラクターが登場するホームページが完成しました。
 このとき、文書、写真、動きのあるキャラクター著作権は著作者であるCさんに帰属します(なお、私が発注したのはD社であって、CさんはD社の従業員である場合には、D社が職務著作として著作権者となります)
 ただ、このままでは、私がCさんとの契約を解除し、他社にホームページの作成を委託したい場合、何らかの事情によりCさんが業務を担当できなくなった場合に、面倒なことになります。
 そこで、著作権は合意により移転することができますので、発注者としては、著作権を移転させるように契約に定める必要があるということになります。
 一方で、Cさんにとっては、自らの作成したキャラクターについて、他でも使用する可能性がある、あるいは、写真については、他でも使用するというのであれば、著作権を全て発注者に渡すのではなく、自らに留保し、両社が使用できるような合意をすることになります。

【次回は】
ひきつづき、著作権について、もう少し解説をしたいと思います。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233
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