今回は、ソフトウェア開発における著作権の扱いについて説明をしたいと思います。
【前回のまとめ】
前回は著作権を移転させるべきか、残すべき著作権は何か、ということを説明しました。
今回は著作権を持っていることに、どのような意味があるのか確認したいと思います。
【著作権に基づく請求】
著作権者であれば、著作権侵害に対し、差止め、損害賠償の請求を行うことができます。
ここで、今回説明したいのは、差止め請求です。たとえば、ソフト開発業者が納品した後に代金を支払ってくれなかった場合を想定します。
このような場合には、著作権を理由に、そのソフトの使用について、著作権侵害を理由として差止め請求することが考えられます。
もちろん、著作権に基づく差止め請求をする以上、著作権が自分のところにあり、相手方には無い、ということが大前提となります。
【著作権の移転時期】
プログラムに関する契約書を見ると、著作権の移転時期については、「納品時」とされている例が見受けられます。
しかし、納品後に代金支払いとなっている場合には、代金を支払わない場合に、著作権に基づくソフトの使用差止め請求をしようとしても、すでに著作権は相手方にありますので、差止め請求は不能です。
そこで、著作権を移転させるとしても、少なくとも代金支払い後としなければなりません。こうすることで、代金未払いであれば、著作権に基づく使用差止め請求が効力を発することになるのです。
【さいごに】
以上のとおり、ここまでの解説で、著作権に関する契約条項を読めるようになったのではないでしょうか。
契約書の記載を比較すると細かく異なることが分かります。どうせ同じ雛形だろうと思って読み飛ばすのではなく、一度、その意味を確認することが重要です。分からない場合には、専門家に確認されることをおすすめします。
回答者 弁護士 小川 剛
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