(1)差押えとはどういう手続きでしょうか?
ここでいう差押えは、「仮差押」とは違う手続きとご理解ください。なお、「仮差押」については、前々回、前回に簡単ながらも説明をさせていただいていますので、ご参照ください。
差し押さえは、裁判での判決を得たものの支払わない場合に、強制的に、相手方の財産の処分を禁ずるものです。そうして、差し押さえがうまくできた場合には、その財産から、債権者は債権回収をすることができるのです。
(2)どのような財産が対象になるのか?
債務者名義の動産、不動産、債権が差し押さえの対象になります。一般的には、不動産、自動車や銀行預金などが対象となります。
まず差押えの対象として大事なことは、それが債務者の名義の財産であるということです。たとえば、債務者がリスク株式会社だとして、その経営者がリスク太郎氏だとします。この場合、債務者がリスク株式会社であれば、リスク太郎氏の個人名義の財産の差し押さえは困難です。
また、債務者がリスク太郎氏という場合に、リスク太郎氏の大豪邸が妻のリスク花子氏名義という場合も、この大豪邸を差し押さえることは困難ということになります。
まずは、この債務者名義の財産を探し出すことがスタートです。
たとえば、不動産であれば、住所地、会社の入居している不動産の登記簿謄本を確認してみることで手がかりとなるかもしれません。
また、取引先の預金口座であれば、どの金融機関に口座があるか分かるでしょうし、最近は企業のホームページで取引銀行名を明示している場合もあります。
車については、普段、債務者が使用している車のナンバープレートがわかれば、弁護士会照会の制度を利用すれば(有料です)、所有者を確認することができる場合もあります。
こうして、債務者の名義の財産を探し出すわけですが、実際には、なかなか財産が無い場合もありますし、名義さえ一致していれば何でも差し押さえができるかというと、そういうわけにもいかないのです。
いわゆる「差押禁止財産」といわれるものがあります。この場合には、残念ながら差押はできません。
差押禁止財産は、いくつかの法律に定められていますが、この点は、次回に確認したいと思います。
回答者 弁護士 小川 剛
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