(1) クレーム対応の基本的な考え方
本件事実関係からすれば、当社にも非はありますし、謝罪をすべき事柄ではあるでしょうが、相手には具体的な損害も考えられず、法的な損害賠償責任が生じるような話ではありません。
よって、金銭請求に対しては断固として拒否をし、しつこいクレームであれば、場合によっては、業務妨害として警察による対応が望ましい場合がほとんどです。
※この点の基本的な対応については、次月に検討したいと思います。
ただ、本件では、クレームの際の電話代が生じているので、その名目で3000円を支払うということで話がまとまっているということでした。3000円であれば、会社の経営判断としてやむを得ないものがあるかもしれませんが、一応、示談書を作成することになりました。
(2) 示談書の書式
重要な点は、何に関する事件だったのか、ということを明記し、これで一切の清算が終わったということを明らかにすることです。示談書のイメージは以下のとおりです。
示談書
○○(以下、「甲」という。)と○○スーパー(以下、「乙」という。)及び同社従業員○○(以下、「丙」という。)は、平成28年10月19日午前8時30分頃、丙が乙の業務配送中、福岡都市高速西公園ランプ付近において、甲の運転する車輌を追い抜き運転した件について、以下のとおり示談する。
1 乙と丙は、本件について甲に不快な思いをさせたことについて謝罪し、再発防止に努めるものとする。
2 乙と丙は、連帯して、本件の解決金(甲に生じた慰謝料、損害金、電話代金など名目を問わず一切の損害に対する支払いを含む)として金3000円の支払い義務があることを認める。
3 乙と丙は、本示談の席上にて前項に記載の金3000円を甲に交付し、甲はこれを受領したことを確認する。
4 甲は、以後、乙の店舗に出入りせず、乙および丙の関係者にも電話、訪問など方法の如何を問わず接触しない。
5 甲、乙、丙は本件について、第三者に口外しない。
6 本示談成立によって、甲と乙及び丙との間には、一切の紛争が解決したものとし、互いに債権債務が無いことを確認する。
(3) 今回は3000円の支払いで済みましたので、問題は大きくならなかったようにも思えます。ただ、本件を例に、あるべき解決方法、企業の心構えについては、次回以降に検討したいと思います。
回答者 弁護士 小川 剛
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