A1 内容証明郵便の受領すら確認できないのであれば、現地調査を
前回説明したとおり、内容証明郵便を受領し、何らかの反応があれば賃料の督促、明渡しの交渉が出来るのですが、中には内容証明郵便を受領しても反応がない、あるいは内容証明郵便すら受け取らない場合があります。
このような方には訴訟によって明渡しを求める必要があります。ただ、訴訟をするには、相手方に訴状の受け取りをしてもらう必要がありますが、郵便を受け取らないような状態であれば、訴訟の進め方にも影響があります。具体的には、公示送達の準備をしなければいけないことになります。そこで、まずは、居住の実態を調査することから始めなければなりません。
これは現地に行くしかありません。居住の実態を調査するには、郵便受けに郵便物が溜まっていないか、電気、ガス、水道のメーターを控えておき、数日後にそれが動いていないか、夜に電気がついていないか、等といった事情から本当に居住しているのか調査をする必要があります。郵便受け、メーター等は写真を撮り、報告書のような形式で状況を整理しておくことが望ましいです。また、玄関ドアには、連絡を求める文書を挟むようにします。後日に、ドアに挟んだ文書がなくなっているのか、確認をしてみてください。
このような調査の結果、居住していながら内容証明郵便を受領しないということであれば、意図的に内容証明郵便を受領していない可能性が高いということになります(即座に明渡し訴訟をするしかないでしょう)。
仮に、郵便ポストには郵便物が溜まり、電気メーターも動いていないというような状況であれば、居住していない可能性、あるいは中で倒れている可能性もあります。そのような場合には、警察に「中の人と連絡がとれない、倒れているのかもしれない」と連絡の上、警察官立会いで内部の状況を確認してください。この際にも、内部の写真を撮影するなどして、居住状況を確認してください。残置物が何か等も確認をされてください。内部を見ても居住していないような状況であれば、公示送達を前提に明渡し訴訟の準備をすることになります。
A2 鍵の無断交換はしてはいけません
大家さんの気持ちは分かりますが、賃料不払い、居住も不明というような場合であっても、鍵の交換、残置物の処分はしてはいけません。裁判において、慰謝料が認容されている例もあります。
やはり、明渡しを認容する判決に基づき、強制執行をするしかありません。
以上
回答者 弁護士 小川 剛
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