A 訴訟によるしかない
賃料未払いの賃借人が何らの対応もしない場合には、訴訟によるしかありません。訴訟+強制執行を覚悟したほうがいいかもしれません。
裁判をするには、訴状の作成が必要です。訴状のイメージは以下のとおりです。
<訴状イメージ>
平成30年7月1日
福岡地方裁判所 御中
原告 A
当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり
第1 請求の趣旨
1 被告は、原告に対し、別紙物件目録記載の建物を明け渡せ。
2 被告は、原告に対し、未払い賃料<100万円>及びこれに対する平成*年*月*日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は被告らの負担とする。
との判決を求める。
第2 請求の原因
1 賃貸借契約の締結
原告は、被告に対し、平成*年4月21日、別紙物件目録記載の建物(以下、「本件建物」という。)を以下の約定で賃貸した(以下、「本件賃貸借契約」という。)(甲1号証 建物登記事項証明書、甲2 賃貸借契約書)。
賃料(月額) *万****円
支払期日 毎月末日
支払方法 銀行振込
期間 平成*年4月1日より平成*年3月31日までの2年間とする。(但し、別段の意思表示をしないときは、同一条件で更に2年間契約が更新されるものとし、以後も同様とする。)
契約の解除 甲(賃貸人)は、乙(賃借人)が家賃、共益費の支払いを滞納し、その滞納額が2ヶ月分に達したときは、相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に乙が履行しないときは、本契約を解除できる(賃貸借契約15条1項)。
乙が家賃、共益費等の支払いをしばしば遅延し、その遅延が本契約における甲乙間の信頼関係を損なうと認められるとき(同条2項1号)。
3 引渡し
原告は、平成*年*月*日、被告坂本に対し、本件賃貸借契約に基づき本件建物を引き渡した。
4 賃料の滞納
被告は、平成*年*月以降、賃料の滞納を重ね、「訴状別紙平成*年*月以降の未払賃料一覧」に記載のとおり、賃料の延滞額は平成30年6月分の賃料までで100万円に達する状況となった。
もはや、被告による賃料の度重なる不払いは、原告と被告との信頼関係を喪失させるに十分な状況にあることは明らかである。
5 契約解除通知
原告は、代理人を通じ、平成*年*月*日、本件賃貸借契約を同月末日に解除する通知を被告に発し、同書面は被告に同月*日に到達した(甲3号証 内容証明郵便)。
しかし、被告は、原告代理人に連絡をするでもなく、また、賃料を支払うでも、明渡しをするでもない。
6 よって、原告は、請求の趣旨記載の判決を求めて提訴する次第である。
A 訴状の解説
訴状を作成する場合、対象物件の登記簿謄本や間取り図は必要です。また、裁判所に収める費用を計算するために固定資産評価証明書も必要です(裁判所に収める費用の計算は複雑ですので、ここでは省略します)。
上記のような訴状に加え、連帯保証人に対する請求を行う場合、解除通知後には2倍の違約金を請求するような場合もありえます。このような場合には、訴状にその旨を記載する必要があります。
こうして訴状を裁判所に提出すると、順調な場合には、裁判がスタートすることになります。
順調じゃない場合とは、訴状の訂正をしなければならないような場合、あるいは、提訴をした書面は被告に送達(郵便)されますが、その訴状送達がうまくいかなかったような場合に問題となります。
被告に訴状送達が出来ない場合については、次回に検討したいと思います。
以上
回答者 弁護士 小川 剛
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