A とにかく訴状を送達させなければ始まらない
訴状が被告に届かなければ、裁判はスタートしません。通常は、訴状は裁判所から「特別送達」という郵便で被告に郵送され、被告が受領することになります。ところが、被告の中には、訴状が届かなければ裁判が始まらないことを悪用し、訴状を受け取らない方もいます。
(1)休日に送達してみる
おそらく送達先に被告がいるであろう場合には、休日に送達するよう手配をする休日送達の制度があります。
なお、私は経験がありませんが、執行官が夜間に持参するという執行官送達の方法もあります。この場合には、執行官の出張費用を要することになります。
(2)送達先を変更する
調査をしてみると、どうも住んでいない、というような場合には、送達先を変更して再度送達をすることが考えられます。一般的な送達先として、被告の就業先が分かっている場合には、就業先に送達することが考えられます。あるいは、実家に確実に生活をしているというような場合には、実家への送達も考えられます。また、法人の代表者については、自宅に送達することも考えられます。
(3)書留郵便による送達(付郵便による送達)
住んでいるけど、裁判所からの書類を受け取らないことが明らかな場合、裁判所からの書留郵便の発送をもって、送達とみなす制度があります。この場合、仮に相手方が受け取らなくとも、発送の時点で送達がなされたことになります。
(4)公示送達
調査をするが、どこにいるか手がかりが無いという場合には、公示送達の方法によります。この調査ですが、少なくとも住民票住所地、そこに同人が居住していないこと、知りうる就業場所など、調査をしたが所在が判明しなかったこと、といった事情が必要です。現地で電気メーターのチェックをするなど、調査が必要です。
この調査をまとめた報告書を裁判所に提出することで、公示送達が可能となります。
こうして、ようやく送達が完了し、訴訟がスタートすることが出来るのです。
次回は、明渡し訴訟について説明したいと思います。
以上
回答者 弁護士 小川 剛
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