A−1 欠席判決
民事訴訟においては、被告が出廷しない場合には、欠席判決となる場合がほとんどです。本件においても、未払い賃料の支払と明渡しについて判決が得られることになる見込みです。
判決の言い渡しは、提訴から1週間もしくは2週間程度でなされることがほとんどです。
民事事件の判決の言い渡し手続は寂しいもので、普段でも判決を聞きに来ている人はほとんどいません。ましてや、裁判の期日に出廷しなかった被告が来ているはずもありません。なお、原告側もわざわざ裁判所に行く必要はなく、判決書を郵送等で後日受け取ることが一般的です。
こうして、ようやく勝訴判決を得ることができるのです。
A−2 強制執行に備える
強制執行をすすめるには、判決が確定している必要があります。判決に対しては、控訴をすることができるので、控訴されると逆転される可能性もありえます。そこで、「敗訴した相手方が控訴をしない」という状況になれば、判決は確定することになります。
では、この判決の確定はいつの時点かということですが、控訴期間が経過すればよいことになります。控訴期間は民事訴訟法によって定められており、2週間となりますので、2週間が経過すればよいことになります。ただし、この2週間のカウントですが、相手方が判決を受領した翌日から起算されることになります。
ここでまた問題が生じます。被告が夜逃げをしていたとします。そうすると、被告は自宅に郵便を送付しても、判決を受け取るはずもありません。こうなると、控訴期間の2週間のカウントのスタートが遅くなるのです。もっとも、この場合には公示送達のような調査は必要ありませんが(付郵便送達という方法によります)、判決→相手方の判決の不受領→付郵便→2週間の経過、と手続を経過するので、その間に1か月程度は経過することになってしまいます。
こうして2週間が経過すると、判決の確定により、確定証明、送達証明書、執行文を得るなどして、強制執行の準備が行えることになるのです。
次回はようやく強制執行の申立です。まだまだ手続は続きます。
以上
回答者 弁護士 小川 剛
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