A 明渡し執行
前回に引き続き、建物明渡しのフローを説明致します。前回までに、明渡しの催告までの経過を説明しました。
今回はその続きとなります。
(1)明渡しの催告の効果
前回、明渡し催告として、債務者の室内に立ち入り、執行官が明渡し催告の書類を貼り付けると説明しましたが、この書面には次のようなことが記載されています。
まず、引渡し期限について1か月後となることが記載されています。そして、占有を移転することが禁止されていることが記載されています。
明渡しを1ヵ月後とすることで、任意に荷物を搬出してくれることが期待されます。
せめて、このタイミングであっても任意に荷物を搬出してもらえたほうが、その後の費用負担は軽減されることになります。
(2)明渡しの断行
どうにも任意の明渡しがなされなかった場合には、強制執行によることになります。
断行の際には、部屋の大家さんへの明渡しと内部の荷物の搬出が行われることになります。
当日は、執行官と鍵屋さん、荷物を搬出する業者(概ね執行官に一任すると、執行官が指定の業者と同行してくれます)と集合します。
実際の執行のスタートは、執行官がドアをノックし、内部から開錠がなければ、こちらで開錠することになります。鍵がなければ鍵屋さんに開錠してもらうことになります。
実際の執行は荷物を搬出する業者が明らかなゴミ以外の動産を搬出し、倉庫に運び込むことになります。倉庫での手続は別途説明します。
こうして荷物を搬出し、鍵を交換し、その鍵を大家さんに渡すことで明渡しの手続が完了することになります。
これで、ようやく明渡しが完了することになります。
なお、明渡しの催告、断行についてはやはり費用がかかり、ワンルームマンションでも倉庫での荷物の保管料等が生じると総額で30万円程度の費用は要することも珍しくありません
次回は、倉庫に運び込まれた動産の説明をしたいと思います。
以上
回答者 弁護士 小川 剛
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