M&Aについて、どこでどう行なわれているのか?どう進んでいるのか、検討もつかない方も多いと思いますので、今回は、M&Aのフローについて、説明したいと思います。
1 M&Aのフロー
M&Aは、簡単に言えば、企業の売り、買いですので、通常の契約と大きく異なるわけではありません。
例えば、不動産を購入する場合を想像していただければイメージしやすいと思います。不動産の場合であれば、概ね、以下のイメージではないでしょうか。
@売りたい人が買主を探す、買いたい人が物件の情報を得る、
Aニーズがあいそうであれば詳しい情報を得る、
B具体的な交渉を行い、条件を整える、
C決済をし、登記手続き等を完了させる
この流れと、M&Aの流れも、さほど大きくは変わりません。ただし、不動産の売買ではなく多くの利害関係や財産の移転となるのですから、その手続は一つずつ丁寧に進める必要があります。
例えば、不動産を売る場合には、多くの方に広告を見て頂き、出来るだけ高い金額で購入いただけるようにしたいところです。
一方、M&Aで売却対象会社について、「あの会社は売りに出ている」とオープンになった場合には、その会社の価値が下がることもあります。あるいは、従業員がそれを知ると不安になり、退職をするということもありえるかもしれません。
このように慎重に進められるために、水面下で話が進むことが多く、また、売買をした後も、それがわかるような場合もあれば、表には出ないこともあるので、あまり身近に感じられないのかもしれません(身近に感じられる場合として、飲食店で味が変わったと思ったら、オーナーが変わった、という話を聞いた、という経験はある方も多いかと思います)。
2 M&Aのスタート
不動産を売却する場合には、不動産会社に行く場合が多いかと思います。あるいは、縁故者に売却をする、知り合いに声をかけていたら、買い手を探してきた、ということが考えられます。
では、会社の売買の場合はどうでしょうか?
基本的には、不動産の場合と同じです。M&Aを仲介する会社は多数あります。また、事業承継については、行政も積極的に進めたく、商工会等にも事業承継センター等があり、会社を売りたい、という相談に対応しています。こういったところに相談をすることがスタートとなりえます。
そのような相談機関や仲介会社は、購入を希望している会社の情報も持っています。そこでマッチングをするということになります。
一般的に、仲介会社は、売り手側にどのような会社かヒヤリングをし、どういう会社に売却話を持ち込んでよいか意向を調査します。例えば、同業他社に売却することを望む社長もいれば、ライバル関係にあった同業他社を嫌がる社長もいるかと思います。
このような意向を踏まえ、仲介会社が候補となる会社数社を選定し、売主会社に話を持ち込んでよいか確認をし、売主会社がOKといった会社にM&Aの打診を行います。
あるいは、仲介を銀行が行う場合、弁護士や税理士に相談したところ、縁故により紹介がなされるような例もあるかと思います。
このように、買手を探してもらうような場合のほかに、売り側の社長が信頼をしている別会社に「あの会社に買ってもらいたい」という話をするような例も多いかと思います。例えば、主たる取引先、あるいは、同業者ながら信頼関係がある他社、大手企業に経営を任せるということは多く見られます。
こうして、あまり表に出ることなく、売手と買手が出会うことになります。
もし、経営者の方で事業を売却したいとお考えの方は、専門家にご相談をされてみてはいかがでしょうか。
その後の手続は、次回以降、さらに説明をしたいと思います。
以上
回答者 弁護士 小川 剛
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