Q 株式の売買を考えていますが、相手の株主の一部が名義株のようです。この株主が所有する株式は2%程度とわずかですし、時価評価だと100万円もしないと思いますが、1000万円でなければ売らないといって、話し合いがまとまりません。どのように対応したらいいでしょうか?
A 特別支配株主の株式等売渡請求手続が考えられます。
前回はサイトの売買について説明をしましたので、株式の整理について、一回話がずれてしまいました。
さて、本題です。
株式の名義人と合意により株式を取得できればよいのですが、必ずしもそうはいきません。もし、こちらが90%の株式を有しているのであれば、一つの手段として、特別支配株主の株式等売渡請求手続が可能となる可能性があります。
これは平成26年会社法改正により導入された制度であり、90%以上の株主が少数株主に対し全部の株式を売り渡すよう請求できる制度です。
少数株主としては、所有し続けたい株式が強制的に取得されることになりますが、法律上、裁判所で適切な価格を求めることができるようにされているなど、効果的に使うことが出来る制度です。
株主総会での決定、取締役会での決議など、複数の手続を要しますし、会社としては価格の妥当性も判断しなければならないなど、専門的な手続を要しますので、この手続を検討される場合には、弁護士等の専門家に相談されてください。
特に株価に不満がある少数株主は、特定の期間内に株価決定を裁判所に求めなければならず、その手続を理解しておく必要があります。
この裁判所における株価決定手続は、自ら株価算定をしなければ審理が進まない、さらには、株価評価に争いが生じた場合には、裁判所による株価評価のための鑑定費用を要するなど、それなりのコストを要する手続です。
なお、余談となりますが、実際の運用例はあまり多くないと思われ、私は平成30年にこのスキームでの解決を目指した事案を経験しており、最終的に株価の決定は裁判所に委ねることになりましたが、平成30年当時、福岡地方裁判所において2例目の申立であると聞いたところです。
出来るだけこのようなことにならないといいのですが、株式を持たれるということはずっとお付き合いをしなければいけないということですので、負担は大きくなります。いずれ解消しなければならない問題ですので、これを機会に株主を整理することをご検討ください。
以上
本説明は本原稿掲載日時点の情報により記載され、適切に更新されていない可能性がありますので、ご注意下さい。
回答者 弁護士 小川 剛
|