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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和2年4月号》
事業承継、M&AについてJ株式の整理 デューデリジェンスとは?

Q 自社の売却を考えていますが、基本合意で2億円となったのですが、デューデリジェンスによって価格が変わるということでした。
デューデリジェンスとは何ですか?これは、どのようなことなのでしょうか?

A デューデリジェンスとは?  デューデリジェンス(以下、DDと記載します)とは、M&Aにおいて買手企業が買収対象企業の実態を調査するものです。買収監査ともいわれます。例えば、帳簿外の負債がないか、株式の管理は出来ているのか、現在係属中の裁判はないのか、税務負担は適切になされているか、といったことを調査することになります。
 買収完了後に、こんなはずではなかった、というようなことがないように、問題点があれば、問題点を洗い出す作業となります。この手続きについては、売り手としては、多くの資料開示を求められますし、不快なこともあるかもしれませんが、売買が終わった後に、「こんな情報を隠していた。売買契約を解除する。損害賠償請求だ!」といった話になるよりも、情報を開示したうえで、誠実に売買をすることは、後々のトラブルの防止になります。
 M&Aの基本契約書においては、例えば2億円という売買対価の記載がある一方で、DDによって金額が変動するということも記載されていることが多いです。
 例えば、2億円と評価していた会社のDDをしてみると、帳簿外に負債が5000万円発見されたとします。このときに、買手の企業は5000万円の負債があるのであれば、1億5000万円にしたいという意見を述べると思います。
 このように、DDは売買価格を下げる方向につながるので、売り手としては気持ちいいものではありません。
 しかし、2億円で売却した会社について、売却金に税金を支払った後に、5000万円を求める損害賠償請求がなされるより、5000万円の値引きは義務ではないのですから、「5000万円の負債はあるが、2000万円の値引きにしか応じない、1億8000万円でなければ売らない」と交渉することは可能です。
 このように、DDを踏まえて価格を設定すればいいだけであって、買手は値下げの交渉材料にするでしょうが、売手としてもそれをオープンに価格決定をすればいいのであって、適切なDDは売手、買手の相互のために必要な作業です。

 次回は、DDについて、より具体的に確認したいと思います。

                                        以上
本説明は本原稿掲載日時点の情報により記載され、適切に更新されていない可能性がありますので、ご注意下さい。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233
HP  http://t-o-law.com/
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