当社は、新型コロナウイルスによる事業への影響により、特定の社員を退職勧奨とし、2週間の休暇を与えたところ、その間にユニオンに加入したようで、ユニオンから団体交渉の申し入れがなされました。
どのように対応をすればいいのでしょうか。以下、初期対応として、よくある質問を私の経験に基づき整理してみました。
Q 労働組合から団体交渉の申し入れがなされました。拒否はできないのでしょうか?
A 基本的に、団体交渉の申し入れについて拒否はできないとお考え下さい。ただし、組合員について全く身に覚えがないというような場合であれば、組合に対し照会をし、その回答を待って団体交渉をするということは考えられます。
Q 労働組合から指定された日時、場所は都合が悪いです。変更は可能でしょうか。
A 労働組合に対し、指定された日時あるいは場所について、都合が悪いことを連絡すれば、概ねスケジュールの変更には応じます。また、団体交渉の場所についても、合理性のある場所であれば、労働組合は応じるケースがほとんどです。
なお、私の経験では、労働組合に対し、指定されたスケジュールで対応可能と伝えたところ、労働組合から時間をずらしてほしいと依頼を受けたことがあります。
Q 団体交渉は社内で実施したくありません。どのような場所での開催が一般的でしょうか?
A 私の経験では、貸し会議室を使用することが多いです。
Q 貸会議室はどの程度の広さを確保すればよいでしょうか?
A 貸会議室を借りる場合には、あらかじめ参加人数が確認しておく必要があります。団体交渉によって組合側の参加者の数も異なります。当事者1名、組合役員1名という場合もあれば、一斉解雇のような場合に組合加入者20名が参加したいという場合もあります。参加人数は組合にあらかじめ確認をされ、部屋を確保する必要があります。なお、狭すぎる部屋だと、相手と至近距離になりますので、十分に広い部屋を確保されることをお勧めします。
Q 貸会議室の時間はどの程度確保すればよろしいでしょうか?
A この点も、あらかじめ労働組合に確認をして構いません。概ね1時間30分程度と言われることが多いです。
そこで、会場設営のために団体交渉の30分前から場所を確保し、開始時刻から余裕をもって2時間確保すればいいと考えます。時間切れとなった場合には、団体交渉は続行することになります。
Q 団体交渉には誰が出席すべきでしょうか。
A ケースバイケースです。社長を出せと言われても、社長が出る必要はありませんが、事情が分かり、判断ができる権限がある担当者が出席する必要があります。
Q 弁護士が出席することはできますか?
A 弁護士は会社の代理人として団体交渉に出席できます。ただし、団体交渉に出席対応をする弁護士は限られています。私の場合には、会社の担当者と弁護士の組み合わせにより参加する例が多いです。
なお、弁護士だけでの団体交渉も不可能ではありませんが、会社の事情を十分に把握しておく必要がありますし、可能な限り会社の担当者には同席いただいています。
弁護士に依頼する場合には、スケジュールの都合があるので、上記のスケジュール調整の前にご相談ください。
以上を整理します。
□弁護士に依頼をする必要があるか判断
□組合とスケジュールを確認する
□組合と参加人数を確認する
□会場を確保する
次回は団体交渉の準備となります。
以上
本説明は本原稿掲載日(R2.8)時点の情報により記載され、適切に更新されていない可能性がありますので、ご注意下さい。
回答者 弁護士 小川 剛
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