前回、デューデリジェンス(DD)を実施するということを説明しました。
具体的には、DDではどのようなことをするのでしょうか。少し具体的に見てみたいと思います。
1 DDの項目
DDは会社のことを出来るだけ詳細に把握しようとするものであり、調査をすればきりがありません。一般的な項目としては、以下があります。
・財務面・税務面のDD
・法務面のDD
・労務面のDD
・資産に関するDD
・事業に関するDD
それぞれの項目について、更にどこまで細かく調査をするのか、限られた時間の中で、どこまで効率的に実施するのか、という点が重要となります。
少し、概要を検討したいと思います。
2 財務面・税務面のDD
主に会計士、税理士が実施するものであり、当事務所が主体でDDを実施する場合にも、財務面、税務面のDDは会計士、税理士に依頼をすることになります。
財務面は決算書のチェックとなりますが、その裏付けがあるのか、DDの柱ともなるべき慎重な対応が必要となります。
大変残念ながら、銀行用、税務用、本当の決算書と3種類の決算書が存在するような会社もあります。この場合、真実がどれなのか、過去の問題のある決算書を正しくするためにどれだけのコストがかかるのか、という問題が生じる例もあります。
また、私が関与した経験では、中小企業の場合、代表者やその親族等に関する貸借が無視できない状況です。未払いの役員報酬を貸金で計上している場合、あるいは、実家の両親への生活費の援助を貸し付けにしている、個人と会社の勘定が一緒になってしまっているということで決算書を精査すると問題となる例が存在します。
そのほか、
また、税務面については滞納税金が存在しないのか、という点から、前述の決算書の修正の必要から課税が生じる可能性、あるいは、申告漏れがないか、という点を精査する必要があります。
なお、決算書の正確性、申告漏れ等の税務面については、代表者に表明保証をさせることも珍しくありません。
売り手としては、厳しい場合もあるでしょうが、正直に情報を開示することが重要です。
次回は法務面のDDについて簡単に説明をしたいと思います。
以上
本説明は本原稿掲載日(令和3年3月)時点の情報により記載され、適切に更新されていない可能性がありますので、ご注意下さい。
回答者 弁護士 小川 剛
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