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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和3年4月号》
M&Aについて 仲介契約の注意点について

 前回、本号では法務デューデリジェンス(DD)について説明をすると予告をしていましたが、最近、立て続けに仲介契約に関する問い合わせを受けたので、今号では予定を変更して売買相手の探し方、仲介契約について少し説明をしたいと思います。

Q M&Aの取引相手は、どうやって探すのでしょうか?
 事業あるいは会社を売却したいと考えた場合、誰に売ればいいのか、どうやって買主を探せばいいのか、という点が最初に浮かぶ疑問ではないでしょうか。
 中には、取引先に売却するなど、既に会社の売却先が決まっている場合もあるかもしれませんが、全く買手候補が無い場合もあります。このような場合には、公的な事業引継ぎ支援センターのようなところに依頼をする、あるいは、銀行のM&Aの部門、M&Aの仲介会社に依頼をする例が多いです。

Q 仲介会社はどこを選べばいいのでしょうか?契約上の留意点はありますか?
 M&Aの仲介については、特に資格等を要しないために、多くの会社がこの分野に参入しています。これらは全て同じというわけではなく、どこを選んでもいいというわけではありません。少なくとも、費用にも差がありますし、その会社のサービスにも差があります。
 費用については、概ね、当初費用(あまり高額ではない例が多く、50万円以下が多い)、成約時の成功報酬が発生することが一般的です(その他、専門家費用等も発生します)。
 成功報酬は成約代金の数パーセントという例が多く、2%から5%前後が多いのではないでしょうか。これはわずかな差に見えるかもしれませんが、10億円の取引であれば、1%の差は1000万円もの差となります。仮に3%違えば、3000万円の差となります。
 費用とあわせて確認していただきたいのが、専任契約となっていることが多いという点です。仲介会社にとっては、自社で仲介をしたいので、仲介契約は専任契約かつ長期間の契約となっている例があります。
 しかし、よりよい条件で売却したい際に専任契約としていると他の仲介会社がよい買手を紹介してくるとしても、専任契約が邪魔をする場合があります。  そこで、あまりに長期の専任契約は、その会社がどれだけがんばってくれるか不明な中で適切ではないと考えます。

Q 仲介を外して直接契約をした場合にはどうなりますか?
 残念ながら、仲介手数料を払いたくないために、買手の紹介を受け、ある程度の交渉をした時点で、破談を装って、直接取引をしようとする方が見受けられます。
 特に、インターネット上でのサイトの売買において、ばれないだろうとそういうことをされる方がいるようです。
 しかし、これは契約違反となります。仲介契約書には、このようなことをしても仲介により成約したものとして手数料が発生することを定めている例も多いですし、場合によっては、ペナルティに関する条項の記載がある場合もあります。
 このような契約違反行為はしないように十分にご留意ください。 

                                                 以上
 本説明は本原稿掲載日(令和3年4月)時点の情報により記載され、適切に更新されていない可能性がありますので、ご注意下さい。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233
HP  http://t-o-law.com/
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