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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和4年1月号》
M&Aについて 法務DD(webサイト、知的財産権等)について

あけましておめでとうございます。
今回は、法務DDの中でもwebサイト、知的財産権等について説明をしたいと思います。

1 知的財産権について
MAの対象となる企業が知的財産権を有している、使用している場合には、知的財産権についても検討が必要です。
例えば、特許権を自社が有している場合、その権利についても引継ぎをしてもらうことになります。また、他社の特許をライセンス料を支払って使用している場合には、その承継もなされなければなりません。
また、特許を有しているということであれば、その特許が従業員による職務発明であるか、その対価がどのように支払われ、従業員が何らかの権利主張をしないかという点は確認が必要です。
時には、知的財産目当て、あるいは研究者目当てでMAがなされることもありますので、主たる事業として必要があれば、十分なDDが必要となります。
なお、これに関し査定をするということもありえます。その場合には、弁理士等の意見を聞くこともあります。

2 webサイト等
今さらインターネットの重要性を説明するまでもありませんが、最近の企業はECサイトに特化したような会社も少なくありません。
また多くの会社がwebサイトを有しています。その場合には、サイトも承継の対象とするのであれば、サイトの内容の確認、ドメインの所有者、管理方法、アカウントを引き継ぐだけでいいのかといった点は確認が必要です。
なお、アカウントは引継ぎを行った場合には、パスワードを速やかに変更することが必要です。これはアカウントを把握している担当者の変更、退職の際にも同じことが言えますが、パスワードを長期に同一のものを使用していると改ざんがなされるおそれ、第三者がパスワードを変更してしまうという事態もありえます。
その他、最近はSNSアカウントを運用している例もあります。この場合のアカウントの承継についても検討が必要です。
また関連してサーバーの契約、webサイトの管理体制、委託内容なども確認をしておくことが必要です。
ネット関係について、アカウントの引継ぎ等は、一般的なMAの契約書のひな型にも項目として挙げられていない例もあるなど見落としがちですが、十分な検討が不可欠です。

最近ではネット上でサイトの売買も活発に行われています。このあたりの事情については、次回説明したいと思います。

                                                 以上
本説明は本原稿掲載日(令和3年12月)時点の情報により記載され、適切に更新されていない可能性がありますので、ご注意下さい。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233
HP  http://t-o-law.com/
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