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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和4年10月号》
M&Aについて サイト売買のご紹介

前回、Youtubeアカウントをインターネットで売買する例についてご案内いたしましたが、インターネット上でインターネットサイトの売買を行う例について、より多くの事例を紹介してほしいというご意見をいただきました。 私が、ラッコM&A(https://rakkoma.com/)という「サイト売買」のサイト運営について、助言をさせていただいておりますので、その経験を踏まえ、事例をご紹介させていただきます。

1 どんなサイトが売買されているのか?
ラッコM&Aのサイトではこれまでの成約実績が公表されており、これまでに1200件以上のサイト売買が成立しています。売主・買主は個人、法人を問いません。
サイトについては、個人が開設しているブログ、まとめサイト等も売却されています。私の経験だと、eコマースによるネット通販の事業であれば、従業員や在庫が多い場合よりも、ネットで完結する事業のほうが売買に向いている例は多いと思われます。これは、通販事業で規模が大きく在庫等もあれば、従業員や在庫が必須であり、事業としての売買がなされ、その際に、アカウントの承継手続きがなされていると思われます。
サイト売買に向いている例としては、eコマースでも、在庫が無くオンラインでの売買のみ、商品の記事は外注先が作成しているといった例が売りやすいようです。
ラッコM&Aでは、売却できないサイトとして、以下が定められています。
・属人性が高く継続運営が困難であるもの
・アダルトコンテンツの配信を主体としたもの
・法令または公序良俗に違反する内容を含むもの(著作権侵害等を含む)
・第三者を誹謗中傷する、名誉毀損あるいは侮辱と評価されうるもの
・第三者の財産、プライバシー、肖像権等を侵害すると評価されうるもの
・宗教・政治活動・政治的主張を含むもの
・反社会的内容を含むもの
・情報の販売を目的とするもの
・案件情報に虚偽や明らかな誤りが認められるもの
・相場から著しく乖離している場合
・事業の継続運営に必要な資産が譲渡されない場合
・そのほか当社が不適切と判断したもの
これらのサイトは、売買後にトラブルが生じかねないものとして禁止されています。
 2 どういった価格帯で売買されているのか?
サイトの売買は、正しい価格というものがまだ形成できていない段階だと思います。実際の事業の売買にも携わる私からすると、ネットの売買は価格が安いと考えます。例えば、法人のM&Aの場合には、その価格を評価する際には、「純資産+5年分の利益」といった計算がなされることが多いと思いますが、これに比べると、サイトの売買の相場は、1年分の利益を下回るような例も多く、単純な利回りだとサイトの売買の相場はかなり買手に有利に感じられます。
もっとも、サイトを購入した後の事業継続、収益化には保障がないので、このような短期回収が前提とされているものだと思われます。

                                                   以上

次回は、サイト売買の留意点等をご案内いたします。    

本説明は本原稿掲載日(令和4年9月)時点の情報により記載され、適切に更新されていない可能性がありますので、ご注意下さい。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233
HP  http://t-o-law.com/
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