弁護士の視点で

                     前へ<<               >>次へ
福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和5年3月号》
M&Aについて サイト売買のご紹介6

昨年9月号以降、サイト上でのサイト売買について紹介させていただきました。
今回は、サイト売買における紛争予防の観点から、競業禁止について検討をしたいと思います。

1 競業、競業禁止とは
例えば、初心者向けのエクセルの使い方についてのサイトを作成しているとします。このサイトを売却することになりました。このときに、買主の競業禁止を設定することがあります。
競業とは、ネット上で類似の営業を行う等により競合してしまうことです。
売主は自分で作成したサイトですので、それをブラッシュアップしたサイトを作ることは容易に可能です。
そして、そのようなことをされると、売買対象としたサイトはアクセスの低下を招くことになります。買主としては、このようなことをされると、サイトを購入した意味がなくなってしまうのです。
そこで、売買契約においては「売主は、契約から1年間は本サイトと競合するサイトを運営する、あるいは関与をしない」ということを定めることがあります。

2 競業禁止の範囲、期間は
買主にも営業の自由はありますし、いつかは同じような仕事をしたいと思うかもしれません。そこで、永久に競業を禁止するということは問題がありそうです。
私見ですが、サイト売買の際には、1年から2年分の利益が売買対価とされる例が多いことから、このような期間の制限であれば法的効力があるものと考えます。
一方で、無償あるいは5万円、10万円といった価格帯のサイト売買であれば、競業禁止の期間も短い、あるいは設定しないということもありえることになります。
言うまでもなく、競業を禁止する場合には

3 競業禁止の効果を高めるには違約は?
競業禁止に対するペナルティとしては損害賠償請求ということが考えられます。
あるいは売買の解除原因とすることが考えられます。
なお、サイト売買の際には著作権も移転していることが多いことから、全く同じようなサイトを作成してしまうと著作権を侵害する可能性が生じることになります。著作権で移転する内容について双方が正しく合意し、理解することは競業禁止の効果を高めることになります。
サイト売買の際には、競業についてもご留意されてください。

                                                   以上    

本説明は本原稿掲載日(令和5年2月)時点の情報により記載され、適切に更新されていない可能性がありますので、ご注意下さい。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233
HP  http://t-o-law.com/
                     前へ<<               >>次へ
弁護士の視点でリストに戻る