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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和5年4月号》
M&Aについて サイト売買のご紹介7

昨年9月号以降、サイト上でのサイト売買について紹介させていただきました。
今回は、サイト売買における契約書の中で、管轄の合意について説明をさせていただきます。

1 裁判管轄とは
残念ながら、サイト売買を利用したものの、想定外の事情が生じてしまい、交渉では解決できない事態が起こり得ます。
そのような場合には、最終的には裁判で解決せざるを得ません。
その時に、どこの裁判所で裁判をするのか、というのが管轄の問題です。
取引であれば、お互いに東京に住んでいれば東京の裁判所で裁判をすればいいのですが、売主が東京、買主が大阪という場合に、どこで裁判をするべきでしょうか。
お互いに合意がない場合には、民事訴訟法で決められています。一般的には被告の住所地、あるいは義務履行地(実質的には原告の所在地)を管轄する裁判所とされることが一般です。
サイト売買に限りませんが、契約書では管轄を自らに有利に設定する、お互いに調整ができない場合には、「被告の住所地」と定めることが一般です。
もっとも、かつてに比べると裁判もweb、電話の活用が増えており、以前ほど管轄の問題はシビアな問題ではないかもしれません。

2 管轄に関する条項
サイト売買においても同様です。原告の住所地等と定めてしまうと、裁判をするほうが有利です。
被告の住所地と定めておくと、遠方だった場合には原告にとっては裁判をやろうというモチベーションが下がるかもしれません。この意味もあって、被告の住所地と管轄を合意している例は少なくありません。
その他、東京簡易裁判所もしくは東京地方裁判所といったように定める例もあります。これは両者が東京の裁判所で構わないということであれば、そのように定めることになります。
管轄までは確認せずに契約をされているのか、問題がないという前提なのか、一方当事者の住所地を管轄と合意をしている例も見受けられます。
契約書作成時には、このあたりまで確認をいただきたいと思います。

3 規約にも管轄の記載があります
当事者間の契約のみならず、サイト売買のサイトを利用する以上、同サイトの規約に従わなければなりませんし、その規約にも管轄を定めています。
私がお手伝いをさせていただいている「ラッコM&A」では、管轄を東京もしくは福岡の裁判所としています。
ここまでご確認いただいた方はお分かりのように、福岡での裁判管轄を定めているのは、私が裁判をしやすいように規約としています。 裁判にならないことが一番ですが、参考となれば幸いです。

                                                   以上    

本説明は本原稿掲載日(令和5年3月)時点の情報により記載され、適切に更新されていない可能性がありますので、ご注意下さい。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233
HP  http://t-o-law.com/
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