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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和6年9月号》
カスタマーハラスメント対策入門6

カスタマーハラスメント対策の必要性

厚労省のマニュアル13〜15頁には、カスタマーハラスメント対策の必要性について解説がなされています。
いずれも、当たり前のことですが、@従業員への影響、A企業への影響、B他の顧客等への影響、という整理がなされています。

対応する従業員にとっては、精神的な負担が大きくなりますし、業務のパフォーマンスが低下することになり、また、深刻な場合には業務の継続が難しくなることもありえます。カスハラではありませんが、よく学校の先生が大量に休職しているという話を聞くことがありますが、多くは保護者対応、モンスターペアレントの問題に悩まされているということに起因します。
このように従業員に影響があれば、当該企業に影響があることも当然です。
企業にとっては、時間の浪費、業務上の支障、人員確保、金銭的負担、店舗企業のイメージダウンなどです。
また、加えて、例えば飲食店で文句を言っている顧客がいれば、その店の他の顧客も不快に感じます。感じの悪い顧客がいる店には、再度利用したいとは思えないでしょう。他の顧客へのサービス提供の遅れにもつながり、多大な迷惑です。

このようなことからすると、カスハラの発生をそもそも予防するということが重要ですが、それができないとしても、最も従業員に負担がかからない方法、企業にとってコストを最小限に抑える方法、顧客が迷惑を被らない方法を検討することが必要です。
従業員、顧客の負担を最小限にするには、クレーム対応を全て外注化する。顧客からのクレームは全て別室で対応し、他の顧客と接点を持たないようにし、クレームがなされた場合には直ちに出入り禁止にする、といったことが考えられます。
このような対策をすることが可能であればいいのでしょうが、実際には、このような対応に近づけるほどにコストは増加します。企業への影響は増大することになるのです。
そこでバランスをとる必要、現実的な対応を検討する必要があります。
本来、このようなことに企業がコストをかけるのであれば、クレームの原因を解消することに費用をかけるのが効率的なはずです。顧客を待たせ過ぎているのであれば、その対応をするのがよいとは思われますが、まずは、最低限の備えをしていく、ということは考えられるべきです。

次回はカスハラ対策の準備について検討したいと思います。

                                            以上

本説明は本原稿掲載日(令和6年8月)時点の情報により記載され、適切に更新されていない可能性がありますので、ご注意下さい。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233
HP  http://t-o-law.com/
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