カスタマーハラスメント行為別 顧客への対応例
前回の続きとなります。厚労省のマニュアル26頁以下には、「ハラスメント行為別:顧客等への対応例」が示されています。
一般論であり、参考にならないかもしれませんが、紹介をさせていただきます。
6 権威型
正当な理由なく、権威を振りかざし要求を通そうとする、お断りをしても執拗に特別扱い要求する。または、文書等での謝罪や土下座を要求する。
【対応例】不用意な発言をせず、対応を上位者と交代する。要求には応じない。
今回の累計は、「権威型」となります。
一般に、偉い、と言われているような役職者の態度が横柄ということは、残念ながら散見されるところです。
社長、弁護士等もそうだと思いますし、議員等の特別対応をされている方についても当てはまる例は少なくありません。報道レベルであり、事実関係はわかりませんが、とある県知事の横柄な態度もこれに該当するかもしれません。
権威をふりかざして、あるいは、「〇〇を知っている、このような態度で、ただで済むと思うな」、「文書で回答しろ」という話をされる場合を想定します。このような場合の対応についても、権威があるからということではなく、冷静に謝罪すべきであれば、謝罪をすればいいと思いますし、アルバイトが対応していることが不満であれば、上司が引き取るしかないと思います。
文書で回答しろ、と言われることも少なくありません。こちらも、「文書回答はしない」という対応でひと悶着となるよりは、文書で回答をするのであれば、誠意のある回答、適切な対応をすべきです。また、この謝罪を公式ホームページに掲載しろという要求もありますが、これに対応する必要はありません。
以下に、バスツアーの遅延に立腹した権威ある顧客からのクレームへの対応文例を示します。なお、書面としては、バス遅延とご不快な思いをさせた謝罪の文書を冒頭で記載しております。
「遅延に対する賠償のご要望をいただいておりますが、バスの特性上、渋滞などによる遅延は避けられないところであり、本ツアーの募集要項に「天候・道路状況により帰着時刻が大幅に遅延したため予定されていた交通手段が利用できなかった場合、タクシー等の代替え交通費や宿泊費等のご負担が生じた費用の請求には応じられません。」とさせていただいており、この同意がツアー参加の前提とさせていただいております。当社としては、本件遅延について賠償の予定はございませんので、ご了承ください。また、貴殿にご不快な思いをさせてしまいましたことをツアー主催者として本書をもって深くお詫び申し上げますが、本書によるお詫びが公式な謝罪でございますので、当社のウェブサイトへの本件の記載についても予定致しておりません。貴殿のご要望に沿うものではないかと存じますが、当社の回答ございますので、どうぞご了承ください。」としています。
謝罪の文書は、ひな形そのままになり過ぎず、謝罪し過ぎず、クレーマーと決めつけず、程よいお断りの文書とする必要になります。もし、お困りの場合には、このような問題の対応をしている弁護士にご相談ください。
次回は次の類型について、また検討をしたいと思います。
以上
本説明は本原稿掲載日(令和7年4月)時点の情報により記載され、適切に更新されていない可能性がありますので、ご注意下さい。
回答者 弁護士 小川 剛
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