弁護士徒然草

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成29年1月号》
破産手続@ 破産の目的

 みなさま,こんにちは。久留米の弁護士仲家です。今回からこのページを担当することになりましたのでよろしくお願いします。

 私の事務所の仕事で比較的多いのが破産事件ですので,破産事件についてお話をしていきます。
 破産は,債務を支払えなくなった個人・法人が,裁判所に申立をして,財産を清算する手続です。

 そもそも破産手続はなんのためにあるのか?  破産手続の目的は何なのでしょうか?  まずは公平な清算が挙げられます。  破産手続がなされない状態では,債権者は訴訟,強制執行によって個別に権利行使することができます。
 しかしこの状態が放任されると早いもの勝ちの競争となり,結果,総債権者の満足が全体として低下します。
 そこで個別の権利行使を制約し,公平な清算を行うことが破産手続の目的のひとつに挙げられます。
 次に,個人破産の場合には,破産者たる債務者の経済的更生が挙げられます。
 個人破産の場合には「免責」という制度があり,免責が認められたら,借金などの債務を支払わなくてよいことになります。
 (ちなみに法人の場合は,破産により法人格が消滅しますので,残った債務は当然に消えてしまいます。)
 破産者が免責されることについては,債権者の方からは納得がいかないという意見をいただくこともあります。
 しかし,経済的に破綻した人について,免責が認められないとすると,人間としての生活ができず,その人にとって酷な結果となります。
 また,免責が認められないとしたら,債務者は無理を重ねることになりますが,そうすると今まで以上に多くの人に迷惑をかけることになります。
 このような事態になることを防止することも,免責制度の意義といえるでしょう。
 不景気や経営者の病気,取引先の倒産など破産の原因はさまざまですが,経済活動を行うことが出来なくなることが一定数存在する以上,それに備えた法制度も必要なのです。

 ところで個人破産の場合,免責は,すべての債権について,いかなる場合も認められるというものではありません。
 まず破産に至る経緯や破産手続の中で行った不当な行為が免責不許可事由に当たる場合,免責自体が認められません。
 免責不許可事由の例としては,財産を隠匿した場合,ギャンブルや浪費によって過大な債務を負った場合,破産手続で虚偽の説明をした場合などが挙げられます。

 次に,免責決定を得られた場合でも,特定の債権(非免責債権)については,免責の対象となりません。
 非免責債権の例としては,租税債権や,悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権,養育費請求権が挙げられます。
 破産のイメージとしては負債を支払わなくていいというものがありますが,税金などは,免責の対象外であることに注意が必要です。                             以上

回答者 弁護士 仲家 淳彦
あゆみ法律事務所
弁護士 仲家 淳彦
830-0023福岡県久留米市中央町37-20 久留米中央町ビル5階
電話0942-65-9277 FAX 0942-65-9280
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