弁護士徒然草

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成29年2月号》
破産手続A 破産の目的

破産手続の主なものは,破産者の財産を清算する手続です。 おおまかに言うと,裁判所から選任を受けた破産管財人が,破産者に属する 財産を金銭に換価し,債権者に支払う手続です。

1 破産手続のスタートは,申立です。
  申立は,債務者(破産者)自身が行う(いわゆる「自己破産」)のがほとんどですが,債権者も申立をすることができます(債権者申立)。

2 換価対象は,預貯金や不動産などおよそ破産者に属する財産です。
  債権者の満足をなるべく多くするため,破産者に属する財産はなるべく高い値段で換価することが求められます。
  そのため,財産を増やすことが管財人は求められており,換価が管財人の腕の見せ所だと言われています。
  もっとも財産がなくて破産するのですから,破産者に属する財産の換価はなかなか簡単には行きません。
  しかし当初はあまり価値がないと思っていた不動産や機械類,材料などが, 思いもかけず高く売れることもあります。
  自分にとってはあまり価値が感じられないものでも,他人から見ると価値があるという場合があるのです。
  より高く売るために,不動産業者さんなどには,たいへんお世話になっています。
  なお個人の破産者については持っているすべての財産を取り上げられるかと言うと,そういうわけではありません。
  個人の方は,手続が終わった後も生活をしていかなくてはなりません。
  そのため,あまり価値のない自動車や,低額の預貯金など,生活に必要で破産者のもとに残しておくことが相当な財産については手元に残しておくことができます。

3 債権者への支払については,債権者が持つ権利により,差が生じます。
  租税など法律で優先的に認められた債権は優先的に支払われ,優先的な債権が支払われてもなお残りがある場合に,一般の債権者に,債権額に応じて配当がなされます。
  債権者の支払にあたって債権の額や内容を確認するのも管財人の大事な仕事です。

4 また個人の破産者については,免責を認めてよいかどうかを判断するための免責調査の手続もなされます。
  免責調査では,破産に至る経緯を調べ,浪費やギャンブルをしていないか,財産を隠していないか,などが調べられます。

5 このように破産手続の内容は多岐に渡るのですが,個人の破産者で,事業者でもなく,配当はもちろん管財人報酬のための財産もないという場合もあります。
  このような場合で,かつ破産に至る経緯で特段の問題がない場合には,管財人を選任することなく破産手続の開始と同時に手続が終了することもあります。   この場合を同時廃止といいます。

回答者 弁護士 仲家 淳彦
あゆみ法律事務所
弁護士 仲家 淳彦
830-0023福岡県久留米市中央町37-20 久留米中央町ビル5階
電話0942-65-9277 FAX 0942-65-9280
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