弁護士徒然草

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成30年5月号》
台形の面積を求める公式って覚えてます?〜訴額のはなし

 訴訟を提起するには,訴訟の目的の価額に応じた手数料が必要です。
 手数料の額は法律(民事訴訟費用等に関する法律)により定められていまして,例えば10万円お金を払えと言う訴訟を起こすときは1000円,500万円払えという訴訟を起こすときの手数料は3万円かかります(手数料額の早見表は裁判所のホームページで見ることが出来ます。手数料は通常は印紙で納めます。)。

   訴訟の手数料や,訴訟書類の郵送に使う切手代,証人の日当などを訴訟費用といい,訴訟費用は敗訴者の負担になります。
 ところで,訴状や判決に「訴訟費用は被告の負担とする。」と書いてある場合に,相手方の「弁護士費用」も敗訴者が負担するのか?と聞かれることがあります。
 しかし訴訟費用というのは上記の通り,手数料・切手代などであり,弁護士費用は含まれません。弁護士費用は依頼した方の負担なのです。

 さてこんな手数料ですが,金銭が目的の場合は,金銭の額がそのまま「訴訟の目的の価額」なので,手数料計算はあまり悩みません。
 では離婚訴訟の場合,手数料はいくらだと思います?
 離婚で得られる利益って,一概には判断できないですよね。
 法律は,離婚のように財産上の請求でないものについては,訴訟の目的の価額を160万円とみなしています。
 そして訴訟の目的の価額160万円に対応する手数料は1万3000円とされているので,離婚訴訟を提起するときには1万3000円の手数料が必要となります。

 では,不動産の明渡しの場合はどうでしょうか?
 まず不動産の「価額」は固定資産評価証明書の額によるのですが,土地については特例により当面の間,評価額の2分の1とされています。
 (この特例は平成6年に設けられたのですが,まだ変更になっていません。)
 その上で,何を求めるかによりまた異なるのですが,所有権や契約終了に基づく明渡しの場合は目的物の価額の2分の1とされています。

 では,明渡しを求める範囲が,土地の一部の場合などはどうするのでしょうか?
 この場合は,全体の評価額を面積で割って,1uあたりの単価を算出し,明渡しを求める部分の面積をかけて目的物価額を算定します。

 ある事案で,明渡しを求める範囲が台形だったため,しばらくぶりに台形の面積の公式を思い出したことがあります。
 はるか昔に学校で学んだことが実生活で役に立つこともあるものですね。

回答者 弁護士 仲家 淳彦
あゆみ法律事務所
弁護士 仲家 淳彦
830-0023福岡県久留米市中央町37-20 久留米中央町ビル5階
電話0942-65-9277 FAX 0942-65-9280
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