お盆休みに、高速道路のサービスエリアの店舗従業員が、社員の解雇に抗議し復職を求めストライキを起こしたというニュースが報じられました。
経緯はともかく従業員が働かないのですから使用者にとっては大打撃ですね。
もっともストライキは、憲法で認められた団体行動権(憲法28条)の行使の一種ですから、ストライキそれ自体は、適法なものとなり、外形上は刑法の業務妨害や民事上の債務不履行に当たるとしても、ストを起こした従業員は刑事上または民事上の責任を負わないのが原則です。
しかしながらストライキという名のもとになんでも許されるかというとそうではありません。
まず、ストライキに際して、暴行や脅迫、器物損壊を行えば、正当性が否定され、犯罪となり民事上の不法行為責任を負います。
また、労働者が経営者の支配を排除して事業所の設備を接収し経営を行う、生産管理も正当性が否定されます。
さらに、ストライキを行うには、開始前に開始時期、期間、争議内容を通行すべきことが信義則上求められており、いきなり行うことは正当性が欠けるとされています。
また、ストライキ中の従業員について、現実に就労しなかった時間に対応する賃金請求権は発生しないのが原則であるとされています(日揮化学事件。東京地裁昭和52年12月21日)。
賃金のうち、拘束された勤務時間に応じて支払われる部分は、特段の根拠のない限り、所定の就労時間中現実に就労した時間に対応して具体的請求権が発生するものだからです(ノーワーク・ノーペイの原則)。
ところで、このたびのニュースで取り上げられたサービスエリアの経営者は、臨時に、他の従業員を準備して施設の営業を再開したのですが、これについて「スト破り」であり違法・不当だとの評価がネットで上がりました。
しかし、ストライキが権利として認められる一方、経営者にも営業の自由がありますから操業継続のための対抗措置をとることができます。
そのため、労働組合との間で、スト期間中の代替労働者の雇入れを禁止する「スキャッブ禁止協定」が結ばれている場合でもない限り、臨時に従業員を準備するなどして営業しても、違法とはなりません。
回答者 弁護士 仲家 淳彦
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