一緒に暮らしていた2人が分かれるとなると、いろいろ決めることがあります。
まず未成年の子がいる場合は@親権をいずれが取得するかを決める必要があります。
親権が決まると、親権を取得しなかった方が他方に請求するA養育費の額を決めることになります。
養育費の算定については、双方の収入と子供の数、年齢に応じて算出する算定表が用いられます。
近年、現行の算定表の額では母子家庭の生活には不足するという批判があり、これを受けて、今年の12月に新たな算定表が発表されることになりました。
概ね現行の算定表よりも増額される見通しです。
また親権を有さない親と子供のB面会交流についても、通常は決めることになります。
調停などでは、月に一回、子の福祉に考慮して、面会することを認めるという条項になるのが一般的です。
その他、財産上の請求についての取り決めがなされます。
よくいわれるC「慰謝料」ですが、慰謝料は、不貞や暴力など、婚姻破綻の原因を作った側が支払うことになります。
慰謝料は、不法行為を理由とする請求権ですから、離婚から3年以内に請求する必要があります。
また婚姻期間中に夫婦で協力して築き上げた財産について寄与度に応じて分与するD「財産分与」があります。
財産分与は離婚から2年以内に請求する必要があります。
加えてD年金分割があります。
「年金分割」とは、年金の2階部分にあたる厚生年金保険料の納付記録を分割する制度です。支給される年金額自体を分割するわけではなく、保険料の算定基礎となる標準報酬を分割するということです。
年金分割制度には、「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。
合意分割は、離婚する夫婦が合意又は裁判手続により、保険料納付記録の按分割合(最大2分の1)を決めるものです。
3号分割は、第3号被保険者が年金事務所に請求し、その期間に対応する第2号被保険者の保険料納付記録の2分の1を、第3号被保険者であった当事者に分割する制度です。
以上が、離婚の際に、決めておくべき事項として挙げられる事項です。
離婚自体、決めるのがたいへんな事柄ですが、離婚自体を決めた場合にも、その他、決めておくべきこと、決めておいた方がいいことがたくさんありますので、ご注意が必要です。
回答者 弁護士 仲家 淳彦
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