不動産鑑定士の仕事

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和7年7月号》
継続賃料29

1.はじめに
 今回は、新規地代の手法である賃貸事業分析法について説明します。

2.平成26年の基準改正で追加
 賃貸事業分析法は、宅地の新規賃料を求める手法として平成26年の鑑定評価基準改正によって追加されました。
賃貸事業分析法は、建物及びその敷地に係る賃貸事業に基づく純収益をもとに土地に帰属する部分を査定して宅地の試算賃料を求める手法であり、建物の家賃から土地の地代を求めるという土地残余法の考え方を準用したものです。

3.賃貸事業分析法の査定フロー
 想定する建物は、鑑定評価基準の留意事項で「新たに締結される土地の賃貸借等の契約内容に基づく予定建物を前提として」とされていますが、契約時点において既に存在する建物も含まれると解されています。しかしながら、あまり古い建物は、新築建物と比較して陳腐化などにより収益性が低下している場合があるため、適正な地代が求められない可能性があり、既存の建物を前提とする場合、新築、又は、築浅物件が望ましいと考えます。
また、査定の流れについては、まず、賃貸事業の総収益から総費用を控除した土地・建物一体に帰属する純収益を求めます。次に、元利均等償還率を使って建物に帰属する純収益を控除すると、差額として土地に帰属する純収益が求められますが、これが新規地代相当額になります。


直近合意時点

4.最後に
 次回も継続賃料を説明します。

回答者 不動産鑑定士 佐々木 哲
佐々木不動産鑑定事務所
不動産鑑定士 佐々木 哲
〒810-0004 福岡市中央区渡辺通2-6-20 ラクレイス薬院203
TEL092-791-1873 FAX092-791-1893
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