【初めに】
今回と次回は遺族年金についてお話しさせていただきます。
【遺族年金】
公的年金の中の遺族年金と言っても大きく分けて2種類あります。国民年金に加入している方、または加入していた方がもらえる遺族基礎年金。会社員在職中、又は会社員だった方が老齢厚生年金を受け取っている間に亡くなった場合にもらえる遺族厚生年金の2種類です。
今月は遺族基礎年金について説明します。
遺族基礎年金をもらえるのは「子あり妻」と「子」のみです。年金法で子というのは18歳年度末までのお子さんのことですが、(障害をお持ちのお子さんは20歳)通常高校卒業までが「子」となります。ですから、子どもがいない妻は遺族基礎年金の対象者となりません。
対象者がいても、納付条件が必要です。国民年金加入中の死亡の場合は、死亡日の前々月までの被保険者期間のうち、保険料を納めていなかった期間が3分の1以上ないこと、又は死亡日の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。このどちらかが絶対必要です。
保険料を払ったり、払わなかったりしている人は年金事務所又は国民年金課で確認してください。免除申請をしている方は納めたとみなされ納付条件に含まれますが、未納の方は亡くなってから納めても認められませんので気を付けてください。遺族が年金をもらえるか、もらえないかで、その後の生活に天と地ほどの差があります。
【金額について】
次に金額についてお話しします。
子が1人の時→妻に基本額として786,500円
子の加算額として226,300円
合計1,012,800円(月84,400円)
子が2人の時→妻に基本額として786,500円
子の加算額として452,600円
合計1,239,100円(月103,258円)
(平成24年度の年金額)
【事例】
ここで事例を2つ上げてみます。
洋介さん(死亡) 35歳 飲食店経営
妻 秀美さん 33歳 子供 8歳と4歳の2人
加入歴: 20歳から33歳まではアルバイト等で生活が苦しく、免除申請をしていた。33歳からは飲食店経営も順調になり、納付した。
秀美さんは上の子が高校卒業まで約1200万円、下の子が高校卒業まで約400万円、合計1,600万円位もらえます。
大輔さん(死亡) 35歳 飲食店経営
妻 京香さん 33歳 子供8歳と4歳の2人
加入歴:大学生の時は学生納付特例の申請をしていた。社会人になり2〜3か所、通算3年間は厚生年金に加入した。脱サラをし、アルバイトしながら自己資金をため、念願の飲食店を開いた。しかし、国民年金保険料は1月も納めていなかった。もちろん免除申請もしていませんでした。
このケースでは納めないといけない3分の2要件も、直近1年要件もあてはまりませんので、もらえないことになるのです。京香さんは、開店時の借金もあり、今後の生活のめども立たず途方に暮れることになります。
【おわりに】
この2つの事例、いかがでしょうか。死亡という保険事故はわが身に降りかからないと思いがちですが、社会人として一個人としてリスクを考えないといけない時代に入っているようです。
回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
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