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福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《平成25年2月号》
遺族年金のこと2

【初めに】
 先月は遺族基礎年金の2つの事例、同じような家族構成だけど納付要件の違いで遺族基礎年金をもらえた妻と、もらえなかった妻の事例をとりあげました。
今月は遺族厚生年金についてお話しをします。

【遺族厚生年金】
 老齢厚生年金をすでにもらっている人が亡くなった場合(夫が先に亡くなるケースが多いわけですが)妻はかならず受け取ることができます。数は少ないのですが、会社員の妻が先に死亡して自営業(主に国民年金加入)の夫が遺族厚生年金をもらうケースもあります。
 そのほか、現職サラリーマンが亡くなった場合や病気退職後の死亡(たとえば在職中の健康診断で悪性腫瘍が見つかり、治療の甲斐なく退職せざるをえなくなり、初診から5年以内にその悪性腫瘍が原因で亡くなった場合等)ももらえます。
 また、亡くなったサラリーマンに妻と18歳になる年度末までのお子さんがいると、遺族基礎年金と遺族厚生年金が受給できます。お子さんのいない40歳未満の妻ですと遺族厚生年金だけです。お子さんはいないけれど、妻の年齢が40歳〜64歳で、夫の厚生年金の加入年数が20年以上だと年589,900円の中高齢の寡婦加算というものが遺族厚生年金につきます。
 このように遺族厚生年金は亡くなった方の加入歴・いつ亡くなられたか・家族の状況等によって受給金額が違ってきます。  また、亡くなられた時妻は65歳前なのか65歳以上なのかによっても内容が違います。

【事例】
 ここで3つの事例を紹介します。(すべて平成24年度価格の年額です)

(1) 死亡者: 夫45歳 会社員 厚生年金加入25年
   請求者: 妻43歳 長男10歳 長女5歳
 遺族基礎年金 基本額786,500円 子の加算額(2人分)452,600円
 遺族厚生年金 夫の平均の給料と加入年数で違うのですが、仮に700,000円とします。
 合計で1,939,100円となります。
 ※長男が高校を卒業すると226,300円がなくなり、長女が高校を卒業すると遺族基礎年金はすべてなくなります。
 ただし、遺族厚生年金に中高齢の寡婦加算がつきます。

(2) 死亡者: 夫63歳  厚生年金加入42年 報酬比例の年金額 120万円
   請求者: 妻61歳  厚生年金加入10年 国民年金加入30年
           報酬比例の年金額 10万円
 60歳から65歳になるまでは一人一年金といって選択しないといけません。このケースでは遺族厚生年金が次の金額になります。
 120万円×4分の3=90万円 中高齢の寡婦加算が589,900円
 合計1,489,900円
 当然妻は自分の年金より遺族厚生年金が高いのでこちらを選択します。

(3) 死亡者:夫70歳 厚生年金加入30年 国民年金加入5年
         老齢厚生年金 100万円 老齢基礎年金 70万円
   請求者:妻67歳 厚生年金加入 5年 国民年金加入 30年
         老齢厚生年金 5万円 老齢基礎年金 80万円
 このケースでは遺族厚生年金が100万円×4分の3=75万円 妻が65歳過ぎていますので、経過的寡婦加算という手当が216,300円つきます(金額は妻の生年月日によって違います)
 65歳以降の遺族厚生年金は、その額から妻自身の老齢厚生年金5万円を引いた750,000+216,300−50,000=916,300円となります。
 ただし、妻の老齢厚生年金5万円と老齢基礎年金80万円はもらえますので、合計で1,716,300円です。

【おわりに】
 いかがでしたでしょうか。60歳近くの女性が何人か集まれば、健康と年金の話題で盛り上がるようですが、正確に言えば加入歴や給料が一人ひとり違いますので、人とまったく同じ年金はありません。このあたりも年金に誤解が多い要因なのでしょうね。

回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
堀江社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 堀江 玲子
福岡市早良区西新4-7-10西川ビル304
TEL092-836-8238 FAX092-836-8239
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