【初めに】
障害の程度を認定する際の基準となる物差しがあります。国年令別表、厚年令別表第1及び厚年令別表第2というものです。
ここでは2級と3級を紹介します。
【2級】
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。この日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のものである。
例えば、家庭内の極めて温和な活動(朝食作り、下着程度の選択等)はできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活で言えば、活動の範囲がおおむね家庭内に限られるものである。
【3級】
労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。
以上のように規定されていますが、一人ひとりの病歴や病状はさまざまですので画一的にあてはめることができません。
【事例】
具体的にこういった事例ではこういう結果になったというのをいくつかご紹介します。
@ 35歳男性 統合失調症・広汎性発達障害
幼いころから多少周りのお子さんと違っていたが、成長とともに異常行動があらわれ、十代後半になって病名がわかる。ご両親も将来を心配され、いろいろな面で手を尽くされたが病状は改善せず、悪くなっていった。専門病院に一生涯入院となる。現在では意思の疎通もほとんどできない。20歳前傷病で障害基礎1級を受給。
A 55歳男性 眼の障害
大学卒業後技術者となるが、入社後5〜6年で視力が落ち始める。仕事に支障がないように工夫をしながら働いていたが、徐々に悪化。眼の難病と判明。視力0.1ない、視野ほぼ0度。会社内では軽作業に配置換え、自宅では長年の勘を働かせて生活。障害厚生年金2級受給。給料と障害年金の調整はありません。(公務員は調整規定があります)
B 55歳男性 ペースメーカー装着
エリートサラリーマンです。仕事柄連日接待、土日も仕事上のつきあいでゴルフという生活をずーっと続けていた方です。健康診断で心臓の精密検査をと言われていたようですが、時間が取れずいきなり心筋梗塞、救急車で運ばれて手術となった方です。現在は仕事に復帰されていますが、お酒もほどほど日常生活もセーブされているようです。
障害厚生年金3級受給。平均のお給料が高かったので3級でも月11万円です。
C 54歳女性 先天性の免疫疾患の難病
先天性の病気ですので20歳前傷病の障害基礎年金となります。ただ、初診日の証明がとれず(今から40年近く前)非常に苦労しました。周辺からとったいろんな資料を付けて出したところ何とか2級がとれました。病気の為入院や通院を繰り返され、免除申請もままならず、このままでは無年金の方でしたので、私も取れた時非常に安堵しました。ただ、一生涯この病気と向き合っていかないといけないこの女性の心情を察すると、しんどいだろうなと感じざるを得ませんでした。
【おわりに】
以上これまでに関わったいくつかの具体例を載せてみました。
回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
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