【初めに】
若い方にはあまり関係のないお話しなのですが、60歳から65歳になるまでの方で、基本手当(昔でいう失業保険)を受け取られる場合、その間年金が止まります。その調整規定について説明させていただきます。
【年金と基本手当の調整について】
60歳以降厚生年金(報酬比例部分)をもらえるようになった人が、退職後ハローワークで求職の申し込みをした場合、求職の申し込みをした月の翌月から基本手当をもらっている間、年金が止まります。
昭和28年4月2日以降生まれの男性は年金の支給開始が61歳からなので、年金と基本手当との調整は61歳からとなります。
そもそも基本手当は、離職した時の年齢・離職理由・被保険者期間・辞める前半年間の給料がいくらか等によって給付日数(何か月間もらえるか)や基本手当日額(一日当たりいくらもらえるか)が違ってきます。
また、待期期間(求職の申し込みを行った日から7日間)や給付制限期間(1カ月以上3か月以内の間で公共職業安定所長の定める期間)は、基本手当が支給されません。
具体的な事例で説明しますと、今年3月15日に60歳になった男性。3月末で定年退職、引き続き働かないで基本手当をもらうとします。20年以上働いていれば、給付日数が150日で、定年退職の場合、7日間の待期のみで給付制限はありません。
ですから、会社から離職票を受け取り、すぐハローワークに求職の申し込みに行ったとすると、第一回目の基本手当が5月には振り込まれると思われます。
年金は本来4月分からもらえますが、手続きをして自分の口座に入るまで3カ月強かかりますので、おそらく7月か8月になってしまいます。
4月分の年金だけは基本手当の手続きをしても振り込まれます。止められる年金は5月分からです。
基本手当の150日分は5月〜9月か10月まででもらい終わるでしょう。
基本手当を10月でもらい終わったら11月から年金が出てくるだろうと思っている方が多く見受けられます。ですが、実際は11月分からもらえますが、年金は基本的に2か月分の後払いですから11月の年金は12月15日支払いとなります。
10月上旬に基本手当をもらい終わったら、12月15日まで無収入なので、生活費がなくて困ってしまう方がたくさんいます。
事務処理がスムーズにいって、2か月半位です。
締日の関係で3か月半位かかる場合もあります。
また、待期期間中は基本手当がもらえないわけですから、もらい終わってしまった後に事後調整と言って、ハローワークと日本年金機構が情報交換をして、年金の支給停止の解除というのを行います。
この事後調整は、離職後1年たってから行われる場合もありますので、注意が必要です。
年金額が変わるときは日本年金機構から「支給額変更通知書」というお手紙が来ますが、何が書いてあるやら訳が分からないというお客様がたくさんいます。
【おわりに】
いずれにしても、生活費に余裕がある方はさほど心配はいらないでしょうが、余裕のない方は2か月分の生活費を前もって準備されることをお勧めします。
回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
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