人生いろいろ、年金もコロコロ

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福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《平成25年8月号》
死亡後の裁定請求

【初めに】
 以前は年金請求のことを裁定請求と言っていましたので、この表題を使いました。死亡後の裁定請求とはなんだろうと思われたことと思います。  国民年金法19条に次のような条文があります。

@ 年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者、子、孫、祖父母、又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた者は、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。

A 第1項の場合において、死亡した受給権者が死亡前にその年金を請求していなかったときは、同行に規定する者は、自己の名で、その年金を請求することができる。

 厚生年金保険法にも同じような条文が37条にあります。

【事例】
 今回取り上げるのは下線を引いた箇所に関係する事例です。
事例1.
 57歳の女性。年金をもらうための25年の資格はありました。がんのため3年間闘病の後死亡しました。年金事務所では、遺族厚生年金と65歳夫の老齢年金を比較し(両方まるまるはもらえません)、老齢年金が高かったので(遺族厚生年金は停止です)死亡一時金のみの手続き案内をしました。(死亡一時金は、国民年金を3年以上かけており、65歳前に死亡した場合もらえます) ⇒診断書の取得ができること等のいくつかの条件はありますが、死亡前に障害基礎年金の等級に該当していたとの判断がおり、1年半の未支給年金が夫におりました。

事例2.
 50歳の独身男性。会社員在職時に脳梗塞発症。症状は重く、3年ほどほぼ寝たきりで死亡。(身障者手帳あり)同居の親に遺族厚生年金が発生するが、父親の老齢厚生年金のほうが多く、受給できず。死亡一時金のみとなる。 ⇒専門家に相談したところ、未支給の障害厚生年金に該当するのではとなり、書類を揃えて請求、2級が認められ1年半の未支給年金が受給できることになった。

事例3.
 35歳の未婚女性、両親と同居。精神を病んで自殺。7年前から精神病治療。死亡後の障害基礎年金を請求。2級が認められ、父親が5年分約400万円遡求受給できる。

【おわりに】
 一般の方は、障害年金は生きているときに受けられるものという理解でしょうが、亡くなられてからも、障害等級に該当していたという証明がとれれば、死亡後でも可能な場合がありますので、あきらめないで専門家にご相談されることをお勧めいたします。

回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
堀江社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 堀江 玲子
福岡市早良区西新4-7-10西川ビル304
TEL092-836-8238 FAX092-836-8239
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