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福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《平成26年2月号》
離婚分割について2

今回は離婚分割をする際のさまざまなケースについて紹介します。

(1)事実婚だった場合
 離婚分割は法律婚のみに認められるのではなく、事実婚も認められます。ただし、分割制度の対象となる事実婚関係の解消は、「平成19年4月1日以後に事実婚関係が解消したと認められた場合で、事実婚だった期間の内、第3号被保険者であった期間に限ります。また、事実婚関係が証明できる書類も必要です。たとえば、未届けの妻となっている住民票がある、別性だが健康保険の被扶養配偶者になっている等です。

(2)離婚した相手と再婚した時
 離婚した相手と再婚し、その後離婚した時も「最初の法律婚」と「再婚」と別々に請求することができます。請求の期限は、それぞれの離婚日から原則2年以内です。

(3)事実婚関係を解消した相手と再び事実婚関係になり、その後解消した場合
 「最初の事実婚(事実婚中の第3号被保険者期間に限ります)」と「後の事実婚(事実婚中の第3号被保険者期間中に限ります)」別々に請求できますし、最初の事実婚については、後の事実婚が解消されていなくても構いません。

(4)事実婚関係にある相手と結婚した場合
 事実婚関係から法律婚に至った場合、連続する「事実婚」と「法律婚」は両者を通算して一つの対象期間として請求することになります。
 ですから、婚姻の届出により事実婚自体は解消されていますが、それに続く法律婚が壊れるまで(離婚)は、事実婚の期間について分割請求できません。

(5)離婚した相手と引き続き事実婚関係にある場合
 離婚した相手と離婚が成立した後も引き続き事実婚関係にあった場合は、「法律婚」と「事実婚(第3号被保険者期間に限ります)」については、別々に請求することになります。ですから、法律婚については事実婚が解消していなくても請求できます。

次に、離婚分割をしたらどういったことが起こるのか、Q&A形式で2問だけご紹介します。

【離婚分割と年金をもらうための期間】
 【問】
 たとえば会社員の夫から妻が、離婚分割により厚生年金の加入記録をもらったら、妻自身が年金をもらうための25年の資格がなくても、分割を受けた時に受給資格ができたことになりますか?
 【答え】
 なりません。離婚時の分割制度は、年金をもらう権利や年金額そのものを分けるものではなく、厚生年金の保険料納付記録を分けるものです。ですから、離婚分割してもらった妻は、妻自身の受給開始年齢の時から増えた年金がもらえます。  たとえば、厚生年金に1年、国民年金に24年加入した妻が、離婚分割により夫から10年分の納付記録をもらったとします。この妻は60歳から11年分の(1年+10年)厚生年金の報酬比例部分がもらえます。(生年月日により今後受給開始年齢は遅くなっていきます)  一方で国民年金だけ25年加入している女性は、10年の厚生年金納付記録をもらっても、65歳からしか10年分の厚生年金はもらえません。厚生年金の記録をもらっても受給資格には関係ないことになります。

【離婚分割された期間と遺族厚生年金の関係】
 【問】
 離婚分割された期間以外に厚生年金の期間がまったくない人で、自分の加入記録で25年はあり、年金をもらっている人が死亡しました。もしこの人に遺族がいたら、遺族厚生年金は支給されますか?
 【答え】
 離婚分割の厚生年金記録が遺族厚生年金になるとは意外ですが、支給されます。

簡単ですが、手続き方法を説明します。

   合意分割の請求をする場合(同時に3号分割をする場合を含む)
         ↓
   年金分割の為の情報提供の請求
         ↓
   年金分割の為の情報通知書の交付
         ↓
   年金分割について、当事者間の話し合い
         ↓
   合意できないとき
         ↓
   家庭裁判所への審判または調停申し立て
         ↓
   年金分割の請求
         ↓
   標準報酬改定通知書の交付

回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
堀江社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 堀江 玲子
福岡市早良区西新4-7-10西川ビル304
TEL092-836-8238 FAX092-836-8239
HP http://hreiko-office.com/
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