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福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《平成26年7月号》
船員保険とは

 今月号は『船員保険』のご紹介をします。
船員保険は、船員を対象とする総合的な社会保険制度として昭和15年に創設された大変歴史のある制度です。昭和61年の制度改正までは、船員保険の制度の中で年金、職務上・職務外の病気やけが、求職等すべて手続きができていました。しかし、被保険者である船員の数も減少し、年金部門は厚生年金保険に統合、職務上の障害給付・遺族給付はそのまま船員保険で行いますが、職務外の病気やけがは全国健康保険協会で行われるようになりました。また、平成22年1月1日以降発生した職務上の病気やけがは、労災として労働基準監督署で行われるようになりました。

 手続先が複雑なので整理してみます。
 ○船舶所有者(事業主に相当)に関するもの⇒年金事務所
 ○採用(資格取得届や国民年金第3号被保険者関係届)⇒年金事務所
 ○保険証再交付⇒全国健康保険協会船員保険部
 ○給与・賞与の届出⇒年金事務所
 ○出産・育児⇒年金事務所
 ○病気・けが(職務外)⇒全国健康保険協会船員保険部
 ○病気・けが(職務上)⇒労働基準監督署(船員保険休業手当金や船員保険行方不明手当金申請は、監督署に提出した請求書写しを添えて、健保協会へ提出)
 ○求職⇒船員の求職は地方運輸局、船員の求職以外は公共職業安定所

 次に、船員の年金の中に特色ある制度が残っていますので紹介します。
@ 厚生年金保険の被保険者期間の計算の特例
・昭和61年4月1日前の期間は実際の加入期間を3分の4倍する
・昭和61年4月1日から平成3年3月31日までの期間は5分の6倍する
※老齢基礎年金の計算は、この特例で計算した期間ではなく、実際の加入期間で計算します。

 A 支給要件の特例
年金は原則25年の資格がないと1円ももらえません。しかし、生年月日により特例があり、男性であれば40歳以降15年から19年、女性であれば40歳以降15年から19年加入で年金の受給資格が得られます。船員も35歳以降15年から19年で受給要件に該当します。

B 支給開始年齢の特例
船員としての実際の加入期間が15年以上あって、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていれば少し早く年金がもらえます。たとえば、厚生年金の男性で昭和28年4月2日から昭和30年4月1日生まれの人は、報酬比例の年金がもらえるのは61歳です。 しかし、昭和29年4月2日から昭和33年4月1日生まれの船員は60歳です。

C 戦時加算 この話になると年金に携わっている社会保険労務士でも知らない方が多いと思います。
昭和16年12月8日から昭和21年3月31日の間で船員として太平洋・インド洋・日本海・渤海で乗船していれば1カ月につき3分の1から2か月の加算がつくというものです。これは戦争中非常に危険ない地域で乗船していた為つけられたものです。

回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
堀江社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 堀江 玲子
福岡市早良区西新4-7-10西川ビル304
TEL092-836-8238 FAX092-836-8239
HP http://hreiko-office.com/
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