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福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《平成26年9月号》
希少な事例紹介〜日本年金機構HPより1

日本年金機構が出している年金の情報の中に「疑義照会」というものがあります。今月と来月にわたり希少な事例の紹介をさせていただきます。
「疑義照会」とは年金の専門職の方が出会った相談の中で、判断や事務処理が間違っていなかったかの判断を機構本部に問合せをし、その回答が載せられたものです。

≪質問1≫外国籍(永住者)の夫婦より、20歳前に初診がある傷病での障害基礎年金事後重症請求がありました。夫婦ともに外国籍で、平成11年2月12日に入国しています。生年月日はそれぞれ昭和39年2月1日と昭和40年11月21日です。夫婦とも障害基礎年金の事後重症請求は可能でしょうか。
※事後重症請求とは、徐々に症状が進み、障害等級に該当するようになった時点で請求するタイプの請求方法です。初めから等級該当に該当している場合の請求方法である障害認定日請求とは違います。

≪回答≫両名ともに、20歳到達日が国籍要件撤廃(昭和57年1月1日)後です。本件の場合、外国籍の有無にかかわらず、20歳到達時に障害の状態になくとも、その後、65歳になるまでに障害の状態になっているときは、障害基礎年金の事後重症請求が可能です。

≪質問2≫被保険者死亡により、戸籍上の妻(18歳未満の子なし)から遺族厚生年金の請求があり、支給決定しました。しかし、その後内縁の妻及び内縁の妻の子から遺族基礎・遺族厚生年金の請求書が提出されました。
被保険者は死亡時まで離島で勤務しており、死亡時の住民票は本妻と同一世帯でしたが、実際には本妻とは別居、定期的な送金、音信、訪問が行われていました。内縁の妻と子については、被保険者とは住民票は別(内縁の妻と子は同一住所)になっていましたが、生計維持関係があったとの申立書、その他関係書類を添えて遺族裁定請求書を提出しています。
この場合、戸籍上の妻を支給停止にして内縁の妻の子を不支給とすべきでしょうか。それとも、戸籍上の妻を支給停止にして内縁の妻の子に支給するべきでしょうか。

≪回答≫厚生年金保険法第66条第2項上の「子」については、被保険者又は被保険者であった者の「子」を指しており、戸籍上の妻の子、内縁の妻の子の区分けはありません。
したがって、本件の場合、内縁の妻の子に遺族厚生年金を支給することになります。(母親と同居の為、遺族基礎年金は支給停止)

≪質問3≫亡父が日本人で、フィリピン在任中に死亡されました。遺族年金請求者は妻で、フィリピン人です(フィリピン在住)。また、18歳未満の子が2人います。フィリピンでの結婚証明書、出生証明書により、死亡者の妻と子であることの確認は取れています。日本の戸籍には、妻は夫の死亡後登録済ですが、子は出生後3か月以内に届出がないと登録できないため、日本の戸籍には未登録の状態です。このまま遺族の子との範囲と認めてよいか伺います。なお、子はフィリピン国籍で、自宅が領事館から遠かったうえ、日本国籍を届け出る意識もなかったため、日本領事館には出生届を提出しなかったとのことです。

≪回答≫本件については、死亡者の除籍謄本では親子関係の確認ができないため、死亡者の妻と子の国籍のある国の公的機関が発行した結婚証明書、出生証明書などを取得して親子関係を確認してください。

3事例を抜粋しましたが、いかがだったでしょうか。希少な事例と書きましたが、実際は私たちの周りで起こりそうな事例でもあります。

回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
堀江社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 堀江 玲子
福岡市早良区西新4-7-10西川ビル304
TEL092-836-8238 FAX092-836-8239
HP http://hreiko-office.com/
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