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福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《平成26年10月号》
希少な事例紹介〜日本年金機構HPより2

9月号に引き続き珍しい事例の紹介をします。

≪質問1≫妻が老齢基礎(厚生)年金受給権者である夫を故意に死亡させた場合、厚生年金保険法第76条に該当するため遺族厚生年金の支給は行われませんが、未支給年金についても、同法第73条の2により同様に取り扱ってよいでしょうか。また、その場合には、次順位者である子に支給してもよいでしょうか。

≪回答≫国民年金法第71条及び厚生年金保険法第76条において、故意に被保険者を死亡させた場合は、遺族基礎年金、遺族厚生年金は支給しないと規定されています。
未支給年金と未支給の保険給付は、保険給付の制限の対象となっていないことから、国民年金法第19条及び厚生年金保険法第37条により生計同一関係が確認できれば、故意に被保険者を死亡させた者であっても支給されます。
したがって、本件の未支給年金は、子ではなく先順位者である夫を故意に死亡させた妻に支給されます。

※年金は、一定の条件を満たした遺族がいれば、死亡した月の分まで受け取ることができます。そのもらえるはずであった年金の事を未支給年金と言います。

≪質問2≫平成18年〇月〇日から行方不明になっていた方が、平成23年○月○日に遺体で発見されたため、遺族から死亡一時金の請求がありました。
・死亡者は平成18年○月○日から行方不明。
・平成23年○月○日に白骨化した遺体となって発見。
・請求者は、行方不明当時、別居していた長男。

死亡一時金の請求について、戸籍、住民票ともに死亡年月日不詳の場合には遺体発見日をもって死亡日とする取扱いです。また生計同一の認定にあたっては、死亡年月日が失踪宣告の場合ではない行方不明中の死亡の場合には、死亡の当時(遺体発見の日)の生計同一を判断することになります。
行方不明後も生計を同じくしているとは通常では考えられないと思いますが、今回の請求者については、死亡者が行方不明当時から遺体が発見されるまでの間、国民健康保険料を払い続けていました。
国民年金法第52条の3第1項により「死亡一時金を受け取ることができる遺族は・・・
その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた者・・・」とされており、内部の通達で「いずれか片方でも経済的援助の実態が認められる場合には、生計同一関係にある者として認められます。」とあります。以上の事より、死亡一時金の支払いは可能と考えてよいでしょうか。

≪回答≫本件については、生計を同じくする者として認められないため、死亡一時金を支給することはできません。

≪質問3≫障害基礎年金(国民年金法第30条の4)受給権者が収監されたため、年金支払いの保留措置をしています。ご本人が出所した際の対応について照会します。収監による行政処分による停止および解除の日付を確定する必要がありますが、その為にはどのような書類を受給権者より提出してもらえばよいでしょうか。
支払必要な期間について、受給権者の所得確認をする必要がありますが、平成22年の時には、本人が収監されていることもあり、市役所から税申告が「未申告」との情報提供を受けています。その場合には、前述の収監期間を確認した書類より、その間は無収入とみなすことができるのでしょうか。

≪回答≫本件については、支給停止期間確定のため、刑確定日・入所日・出所日等に係る刑事施設庁の証明書の提出を求めてください。
また、支給停止事由消滅後の年金の支払いに係る期間の所得確認については、当該証明書及び市役所からの税申告が「未申告」との情報から、一律に無収入と判断することはできません。受給者に税申告の手続きをしていただくよう案内してください。

驚くような内容のものもありましたが、いかがだったでしょうか?

回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
堀江社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 堀江 玲子
福岡市早良区西新4-7-10西川ビル304
TEL092-836-8238 FAX092-836-8239
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