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ねんきん事例4(時々ある請求漏れの事例) |
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今回取り上げるのは請求漏れの事例ですが、これまで頻繁にあった厚生年金や国民年金の記録漏れのお話ではありません。 大学の先生が65歳で老齢基礎年金の手続きをしていない(わからなかった)というケースです。 今回出会ったのは次のようなものです。 Aさんは若いとき5年間国立大学で教え、その後私立大学に移り35年間70歳まで教鞭をとりました。共済年金と私学共済の年金の手続きは終えていて、一部受給しています。ところが、65歳から老齢基礎年金は国(日本年金機構)から支払われるのですが、報酬をもらっていたせいか、又は国共済と私学共済から年金が出ていたためわからなかったのか、 手続きをしていませんでした。 65歳の3か月前に日本年金機構から請求書が送付されるのですが、気付かなかったようです。 最終的に70歳前に再度送付された為、そこでやっと老齢基礎年金が国からもらえるようだと気付いたようです。 65歳から受給する年金には、「繰下げ制度」と言って一定期間もらわず増やすことができるしくみがあります。1月当たり0.7%ずつ増え、70歳で受給したら65歳時の142%になります。増加率としては非常に高いのですが、現実に選択する方は100人に1人いるかいないかぐらいです。一般の方は早くもらっておけるうちに受け取ったほうが得と考えるようです。 ここで少し横道にそれますがご容赦ください。私は最低でも1〜2年繰下げをして66歳か67歳位で受給しようと思っています。年金は働けなくなった時に受け取るものだと割り切り、働ける間はその収入で暮らし、働けなくなったときに少しでも高い年金を受け取る方が有利だと考えます。 今後年金は毎年少しずつ減り続け、20〜30年の内に現在の受給金額より1割〜2割減となる見込みです。長生きがリスクの時代ですので、自衛の為に繰下げは良い方法と考えます。 さて、Aさんのお話に戻ります。Aさんは65歳からもらっていない年金を一括で受け取ろうかなと言われたのですが(総額で約400万円弱)、ご家族は長生きすることを願って繰下げしたらと言われたそうです。最終的にご家族の意見を取り入れ、年額110万円ほどの老齢基礎年金を受け取ることになりました。 ところで、ご主人が共済年金の場合、妻の年金にも漏れが生じるケースがあります。Aさんの妻もそうでした。 年金の中に振替加算といって、夫婦の年齢・加入歴・収入等によって老齢基礎年金に加算されるものがあります。どういう原因かわかりませんが、Aさんの妻の老齢基礎年金にも年額98,800円の振替加算が65歳から68歳の現在まで加算されていませんでした。今回30万円弱が一括で支払われる為、喜ばれましたが、年金のややこしさは一般の方には難しすぎます。わからないままスルーして不利益を被っている方もいるだろうなと思いました。 回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
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