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前へ<< >>次へ福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《平成27年11月号》 |
厚生労働省再審査請求公開審理事例 |
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今月号は10月1日東京で傍聴してきた公開審理の一事例をご紹介します。
「再審査請求」というものがわかりにくいので少し説明をします。たとえば、日本年金機構(年金事務所)に障害厚生年金の請求をしたけれど、認めてくれなかった。年金機構が出した結論に対して不服があるとします。そこで、社会保険審査官に審査請求という不服申し立てを行います。そこでも、やはり期待した通りの結果が出なかった。しかし、どうしても納得がいかない、あきらめきれない。その場合、次のステップに用意されたものが再審査請求という不服申し立てをする場所となります。
今回は老齢厚生年金を請求したけれど、もらえるのは直近5年分という規程(時効消滅)によって2か月分が消えたので、2か月分を返してくれというものでした。請求が遅くなったのは本人の責任ではないという主張でした。
年金を受け取るには、25年間納めさらにその内厚生年金の加入期間が1年以上あれば、男性61歳、女性60歳(平成27年度の場合)の3か月前に日本年金機構から「年金請求書」が送られてきますので、自分で年金手続きを行わないといけません。あくまでも年金機構がこの受給資格を把握している方に送付するのであって、把握できない方には届かないことになります。 平成21〜22年から「ねんきん特別便またはねんきん定期便」という年金記録・報酬・年金見込額等が記載された手紙又はハガキが年金機構から一年に一度誕生日月に届いています。年金機構によると、この「ねんきん定期便」が何らかの理由により請求者に届かず、年金機構に戻ってきたそうです。戻ってきたことにより、システム上年金の受給開始年齢になっても年金請求書が発送されない仕組みになっているとのことで、請求者(後見人)は、年金手続きをしなくてはならないことを知らなかったとのことでした。 年金機構側の主張は、年金請求書を発送することはそもそも機構に課せられた義務ではないのだから、送付していないからと言って5年を超えて支払わなければならないことはないという主張でした。 請求者側(後見人)は、定期便が一度届かなかっただけで、年金請求書を発送しないということがおかしい。請求書が来ていれば手続きをしないといけないことが理解できたのに、来なかったから手続きをしていないのだ。それを一方的に時効消滅で5年を超えたら払わないというのは納得できないというものでした。
出席している保佐人から出た意見としては、『一度「ねんきん定期便」が届かなかったからといって年金請求書を送付しないというのは民間では考えられない。』
皆さまはどういう意見をお持ちでしょうか?
参考:厚生年金保険法(時効) 回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
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