一般の方が年金の事を考えるようになるのは50歳台後半からです。その時に関心の高いことベスト3は「自分がいくらもらえるか」「いつからもらえるか」「何か得な受給の方法はないだろうか」です。
そこで今月はいくらもらえるかについて説明します。
≪老齢基礎年金額の出し方≫
20歳から60歳まで40年間国民年金保険料を納めた場合、平成27年度の金額で1年あたり780,100円がもらえます。
老齢基礎年金の額は納めた月数に正比例しますので、1年当たり約19,500円となります。
国民年金の制度は昭和36年から始まり、当時の国民年金保険料は100円でしたが、徐々に上がり続け現在では月に15,590円で大きな負担となっています。制度開始時から加入していた方は安い国民年金保険料で月65,000円がもらえますが、現在支払っている方々は、10年近く受給しないと支払った分は取り戻せないことになります。ただ、社会保障制度の相互扶助ですし、老齢だけではなく遺族年金・障害年金もあわせて給付が受けられる場合もありますので、老後の所得補償として非常に大切なものです。
≪老齢厚生年金額の出し方≫
金融機関の年金相談会に年金手帳だけを持ってきて、「もらえる厚生年金額を教えてください」と言われることがたまにあります。
残念ながら厚生年金の金額は大まかにいって、その方がいくらの給料を受け取っていて厚生年金に何年加入していたか、そしてボーナスがいくらだったかによって決まりますので年金手帳でわかるわけではありません。
とはいっても、がっかりさせたままお帰りいただいたらいけませんので、国民年金と厚生年金の加入年数の聞き取りをして概算額を説明します。
報酬比例部分 (老齢厚生年金)
若いとき短期間だけ勤めた | 加入年数1年で | 10,000円 |
中小企業で長く勤めた | 〃 | 20,000円〜30,000円 |
一流企業で定年まで勤めた | 〃 | 40,000円 |
大卒公務員で定年まで勤めた(職域加算含む) | 〃 | 45,000円 |
社長として全期間最高等級の報酬を得ていた | 〃 | 50,000円 |
上の表からたとえば、女性で結婚前の期間が5年ある場合は年50,000円ほど
男性で中小企業に40年間勤務の場合は年80万円〜120万円位
男性で一流企業に定年まで40年間勤務の場合は年160万円位となります。
たまに厚生年金の最高額はいくらですかと聞かれますが、社長として全期間最高報酬としても(現実にあリ得ませんが)年200万円位です。このほかに65歳から老齢基礎年金が年78万円プラスとなります。
上の表で示したのは現在年金を受給している方、又は今から請求をしようとしている世代の方々の分ですので、20代30代の若い世代の方は今後年金額が徐々に下がっていくでしょうから、あてはまらなくなりますのでご注意ください。
本来の計算式は複雑です。昔の給料を再評価といって現在価値に置き換えたり、総報酬制といってボーナスを含めなかった平成15年4月前と含めて計算するようになった平成15年4月以降とに分けて計算したりします。
その他年金の中に加給年金と振替加算という一種の配偶者手当が現在でもあります。いくつかの条件を満たさないともらえないのですが、加給年金は年額で390,100円なのでこれが受給できるか否かは大きな関心ごとです。
回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
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