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福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《平成28年3月号》
年金の常識B
 平成28年度の年金額が決定されました。これから年金額が決定される人もすでに年金を受給している人もともに年金額は据え置きとなり、下がりませんでした。
 国民年金満額(40年間加入)で月額65,008円、モデル世帯の厚生年金(夫が平均標準報酬428,000円で40年間働き、妻がその期間すべて専業主婦の場合)は月額221,504円です。
 被用者年金一元化により、年金額の端数処理が100円未満四捨五入から、1円未満四捨五入になったため、平成28年度第一回目の支払いの6月15日から月額4円以下の増減が出てくる方もいます。
 上記の年金額の発表と同時に厚生労働省年金局から平成26年国民年金被保険者実態調査結果の概要も出ました。興味深い項目・数字をご紹介します。

@ 1号被保険者(国民年金保険料を支払っている人)の就業状況
 自営業主16%、家族従事者7.6%、常用雇用者9.4%、パート・アルバイト・臨時が30.9%、無職が33.3%
 一昔前は、農業従事者や自営業主がほとんどでしたが、現在は無職の割合が最も多くなっています。

A 世帯の総所得金額の分布
 国民年金保険料の納付義務は本人・配偶者・世帯主にありますが、1号被保険者の世帯の所得金額は、平均412万円、中位数が255万円です。
 世帯の総所得金額が100万円未満の者の割合が25.4%、いっぽうで1500万円以上の世帯も3%あり、貧富の差が大きくなっています。

B 世帯の消費支出月額の分布
 第1号被保険者の世帯の消費支出金額の山となっているのは、10万円以上15万円の世帯です(26%)。月5万円以下で暮らしている世帯も9.6%います。苦しい生活を強いられている状況がうかがわれます。

C 国民年金保険料を納付しない理由
 一番多いのが「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」
 2番目が「年金制度の将来が不安・信用できない」
 3番目が「納める保険料に比べて、十分な年金額が受け取れない」となっています。
  ただ、世帯の総所得金額が1000万円以上であっても48.8%が「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」と答えているので矛盾を感じます。

D 国民年金保険料と国民健康保険料の納付の関係性について
 第1号被保険者で国民健康保険料を納めないといけない人は、70.6%です。国民年金保険料を滞納している人でも、6割近くの人は国民健康保険の保険料を納めていますので、将来の老後の年金よりも今の病気に対する備えの方が大事だということでしょう。

E 生命保険・個人年金の加入状況と保険料額
 生命保険か個人年金に加入している者は55.3%で半数以上が加入しており、月15,000円程度の保険料を支払っています。国民年金保険料の滞納者も、個人年金に平均で月14,000円を支払っています。国の年金制度は信用ならないけれど、個人年金は確実に受け取れると理解しているのでしょう。

F 国民年金の実質的価値の維持についての周知度
 国民年金は民間保険会社の個人年金とは異なり、物価水準や国民生活の変動に応じて年金額が改定され、年金の実質価値がなるべく変わらないような仕組みとなっているのは利点ですが、このことを知っている人は、41.2%です。

G 国庫負担の周知度
 これも民間保険会社の個人年金と違って、老齢基礎年金の2分の1以上が国庫負担(言い換えると税金)でまかなわれています。このことを知っている人は32.7%です。
 いろいろな事情から無年金にならざるを得ない人がいますが、国の制度を知っていれば救われる人もいますので、より多くの人に理解を求めたいものです

回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
老齢・遺族・障害年金・脱退一時金・労災・加入記録の調査、手続き等 堀江社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 堀江 玲子
福岡市早良区西新4-7-10西川ビル304
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