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福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《平成28年6月号》
年金の常識E

 今月号も前月号に続いて遺族年金の事例紹介です。平成26年3月までは子供がいる夫は、遺族基礎年金を受給することができませんでした。それがどのように法律改正で変わったか説明します。

妻:S45年8月生まれのA美さん 平成28年5月ガンで死亡 45歳
夫:S35年12月生まれのB介さん 55歳
子:颯太君 15歳の中学3年生
A美さんのこれまでの加入歴は、厚生年金10年、国民年金15年で年金を受け取れる条件の25年は満たしています。

≪平成26年4月の改正前に死亡していれば≫
夫のB介さんには遺族厚生年金の権利そのものはあるのですが、支払いに関して年齢条件というものがあり、死亡時55歳以上、60歳まで支給停止となりもらえませんでした。
颯太君には遺族厚生年金が発生し、高校卒業までは受け取れますが、卒業したら権利はなくなってしまいます。
また颯太君には遺族基礎年金の権利もありますが、父親のB介さんと暮らして(生計同一)養育されているので、支給停止となりもらえません。

≪平成26年4月改正後の死亡であれば≫
夫のB介さんは子どもと一緒に生活しており、妻と生計維持関係もあるので、颯太君が高校を卒業するまでですが、遺族基礎年金の権利が発生するようになりました。
ちなみに遺族基礎年金の金額は、子の加算額を入れて年額1004600円です。
またB介さんには遺族厚生年金も発生します。改正後は父親の年齢に関わらず、遺族基礎年金がもらえる間は遺族厚生年金ももらえるようになりました。颯太君が高校を卒業したら遺族基礎年金がなくなるので、遺族厚生年金も支給停止となりますが、B介さんが60歳になればまた支給されます。
この改正により該当者はそう多くないでしょうが、妻亡き後子供さんを育てる男性にとっては朗報です。

【関連条文】
国年法37条
遺族基礎年金は、被保険者又は被保険者であった者が次の各号のいずれかに該当する場合に、その者の配偶者又は子に支給する。
国年法41条
子に対する遺族基礎年金は、配偶者が遺族基礎年金の受給権を有するとき、又は生計を同じくするその子の父若しくは母があるときは、その間、その支給を停止する。
厚年法65条の2
夫、父母又は祖父母に対する遺族厚生年金は、受給権者が60歳に達するまでの期間、その支給を停止する。ただし、夫に対する遺族厚生年金については、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、夫が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有するときは、この限りでない。

回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
老齢・遺族・障害年金・脱退一時金・労災・加入記録の調査、手続き等 堀江社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 堀江 玲子
福岡市早良区西新4-7-10西川ビル304
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