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福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《平成29年11月号》
ねんきん雑学J

今月号も引き続き「障害年金にまつわる関連事項」についてご説明します。

@ 障害年金と傷病手当金を同時に受給できるようになった場合

会社員で健康保険に加入している人が、私傷病で働けなくなり、給料が出ないときに申請すれば、全国健康保険協会又は会社の健康保険組合から最長1年半「傷病手当金」という一種の生活保障給が出ることがあります。
この傷病手当金受給中に、同じ病気で障害厚生年金の申請をして認められたとしたら、両方まるまるは受給できません。原則、障害厚生年金が支払われ、傷病手当金は止まります。すでに別の病気が原因で障害基礎年金を受給している場合は、関係なく両方とも受け取れます。また、傷病手当金を受給するための病気(傷病)と障害厚生年金を受給する原因となった病気(傷病)が違う病気(傷病)だと、減額されることなく両方とも受給できます。
 一方で傷病手当金の方が障害厚生年金より受給金額が高い場合は、その差額が支払われます。
 私が関わったこれまでの事例では、在職中に糖尿病により失明になった方がいて、障害厚生年金1級相当でした。ところが目の治療中に大腸がんになっていることが判明、眼と癌のどちらでも傷病手当金の請求が可能でした。どちらで申請したらこの方にとって有利になるかを調べ、最終的に傷病手当金は大腸がんで受給することにしました。
重複する期間中、眼で障害厚生年金、大腸がんで傷病手当金と両方とも受給することができました。

A 生活保護と障害年金の調整について

 障害年金は、申請や受給に当たりいくつかの条件がありますが、一般論として障害により働いて収入を得る能力が失われ、その障害により日常生活を送る上で多大な支障がある場合に、最低生活費の補てんをするものです。
 生活保護はかかる費用の3/4を国1/4を地方自治体が負担しています。当人が利用できる資産や能力をすべて使い切った後、その方が陥っている困窮度合いに応じて最低限の生活を保障するものです。
 障害年金を受給している方が生活保護を受けることになったら、又逆に生活保護受給中に障害年金を受給できるようになったらどうなるかというと、障害年金が優先的に支払われます。そして、最低生活費に足りない差額分が生活保護費として支払われます。その他医療扶助や住宅扶助等の必要性をケースワーカーさんが判断します。
 ですから生活保護を受けている当人にとって、障害年金受給がプラスにならないと考える方もいますが、生活保護には「障害者加算」という制度がありますので、必ずしも意味がないとは言えません。障害年金2級で17,820円が加算されます。
また、障害年金受給を足掛かりに、できる範囲で働き、できれば生活保護受給から外れたいと考える方もいます。

今月は障害年金と他制度との関係について2つだけ説明しました。仮に障害年金が受給できるようになったとしても、「税金はどうなるのだろう?」「働いて得た給料が発生したら止まるのか?」「障害年金は生涯受給できるの?」等いろいろな疑問が出てくると思います。今後機会があれば触れたいと思います。

回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
老齢・遺族・障害年金・脱退一時金・労災・加入記録の調査、手続き等 堀江社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 堀江 玲子
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