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福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《平成29年12月号》
ねんきん雑学K

 あっという間に平成29年もあと1月を残すところとなりました。

 9月号に「請求が認められなかった場合」について説明すると書いていましたが、触れていなかったので取り上げます。
 認められなかった理由が何かによってその後の対応が違ってきますが、障害の程度が軽くて(等級不該当)認められなかった場合の対応方法を考えます。初回申請は本人が行ったものとします。

 @ 『申請するためにかなり時間・労力・費用が掛かり、再度同じことを繰り返す気力がすぐには起こらない。当分の間あきらめる。軽かったという判断であればしようがない。悪くなったらその時考える。』
 こういう気持ちを持たれるのも無理はありません。一般的に年金事務所・病院・役所とぐるぐると何回も通わないと請求までたどり着きません。自宅でも「病歴就労状況等申立書」という書類の作成を並行して行わないといけないので、逆に病状が悪くなる方もいるほどです。65歳までなら再請求は何度も可能です。

 A 『あきらめきれないので、再請求をする。初めての申請だったので、全く知識がないまま年金事務所で言われた通りに書類を揃えて請求した。しかし、不支給の通知があった後に、ネットや医療関係者や友人からの情報によると、簡単に認められるものではないことがわかった。入念に準備してからでないと難しいのであれば、次回は気を付けて行いたい。』
 こういう場合は、まず不支給の理由が何だったのかを調べてください。日本年金機構の認定医が「障害状態認定表」や「障害状態認定調書」というのを作成していますので、開示請求をして次回請求の参考資料にしてください。また、多くの場合診断書の内容で等級が決まります。障害状態を適正に表している診断書だったのかどうか、見直してみることも必要です。再請求の際には、「病歴就労状況等申立書」の中に日常生活や働くうえで、その障害によって困っている事や工夫している事など、具体的なエピソード・客観的な数字等を入れます。認定医が「病歴就労状況等申立書」を読むことで、その請求者の障害状態のイメージが浮かび上がるような記述を心がけることも大事です。そして、最も重要なことは現在の障害状態が日本年金機構が出している「障害認定基準」の等級に該当する状態であるということを示すことなのです。

 B 『今回の請求を認めないという日本年金機構の決定に到底納得できない。障害によって日常生活や労働にかなり支障が出ている。何とか不服申し立てをしてでも認めてもらいたい。』ということであれば、審査請求、再審査請求という方法がありますので、障害年金に精通しているプロの社労士にご相談ください。これは本人には非常に難しいと思います。審査請求に至る経緯・事実・反論・結論等を導く書類作成や請求の根拠となった資料等も揃えないといけません。それなりに時間(半年〜1年ほど)や費用(社労士によって相違)も掛かります。審査請求の期限は、決定通知書を受領した日から3か月以内なので、十分考えたうえで早めに依頼されることを勧めます。

 いずれにしても、書類にあらがあった場合の初回請求で認められず、再度請求を行った場合でも、初回請求の書類を踏まえて審査が行われますので、矛盾した内容であればまた認められないことになります。本来は初回請求を慎重に丁寧にすることが最も大事なことなのです。

回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
老齢・遺族・障害年金・脱退一時金・労災・加入記録の調査、手続き等 堀江社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 堀江 玲子
福岡市早良区西新4-7-10西川ビル304
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