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福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《平成30年6月号》
障害年金事例D

 今月号は人工関節を挿入置換した場合の、障害厚生年金と障害者特例のご紹介をします。
 日本年金機構が公表している『障害認定基準』では、肩・肘・手の上肢三大関節、股・膝・足の三大関節の内1関節以上に人工関節(人口骨とうも可)を挿入置換したものは、3級と認定するとなっています。
 申請する際の最初の関門である初診日要件(初診日に加入している制度は、3級まである厚生年金に加入していることが条件です。国民年金に加入している方は、障害基礎年金を請求することは可能ですが、2級までしかありませんので、人工関節挿入のみでは該当しません。)や保険料納付条件(一定程度の期間、厚生年金に加入している事)を満たすことが必要です。

 審査後、認められた場合の受給できる年金額は、その方の平均賃金額から計算し、その金額が低い場合は最低保障といって、年584,500円が支払われます。厚生年金に加入し、給料をいただきながら受給できますので、人工関節を入れている方は年金事務所で相談してください。
 ただ、今日は障害厚生年金が主ではなく、『障害者特例』という制度を皆さんにご紹介したいのです。これは障害年金ではなく、年金の種類としては老齢厚生年金の例外といった位置づけのものです。受給の条件が2つあります。一つ目は障害厚生年金の3級を取得している必要はありませんが、障害状態がおおむね3級相当であることとなっています。二つ目が厚生年金に加入していないことです。パートやアルバイトで働くことはOKですが、給料は低くても厚生年金に加入していたら申請できません。この二つの条件を満たしたら、その方の年金支給開始年齢から65歳になる前前日までに申請してください。もちろん診断書等が必要ですが、障害年金の申請に比べたら負担(手間暇や準備の時間)は極端に少ないです。結果が出るまで数か月かかりますが、申請した月の翌月分から増えた厚生年金を受け取れます。
 例えば、10年間厚生年金に加入して、報酬比例部分が月1万円の女性がいるとします。障害者特例が認められたら、月16,250円増額しますので、合計で月26,250円になります。
 仮に厚生年金に30年加入した男性(年下の配偶者あり)が申請したとすると、配偶者手当も一緒に受けられますので、報酬比例部分が月8万円だと、定額部分と配偶者手当合計で月8万円以上になり、合計で月16万円位になります。
 障害者特例は自分で申請しないと、誰も教えてくれませんので、将来の所得補償である自分の受け取る年金に関心を持ち相談をしてみることは大事なことです。
 過去人工関節を挿入置換し、教師を続けてある方から相談を受けました。共済組合に加入していたので、在職中は障害共済年金は止まってしまうので、申請をあきらめていました。しかし、一元化といって平成27年10月に共済年金が厚生年金にかわりました。一元化以降は給料をいただかれたとしても、3級の障害年金は受給できるのです。
 人工関節のみではなく。ぺースメーカーや人工肛門等もあてはまります。どうぞ退職して60歳前後の方で、働くのにかなり支障がある方はご相談ください。

回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
老齢・遺族・障害年金・脱退一時金・労災・加入記録の調査、手続き等
堀江社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 堀江 玲子
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