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福岡!企業!元気!のための許認可事業のココロエ 《平成27年12月号》
建設業における技術者について2

 今回も前回に引き続き建設業における技術者について述べていきたいと思います。
 建設業では「専任技術者」 「監理技術者」 「主任技術者」 「専門技術者」 「現場代理人」と色々と技術者が出てきます。前回は「専任技術者」について取り上げましたが、今回は監理技術者等(監理技術者と主任技術者)について取り上げていきます。

【 監理技術者等とは? 】

 前文で書いたとおり「監理技術者」と「主任技術者」のことです。
 建設業許可業者は、請け負った工事を施工するには請負金額の大小にかかわらず、工事施工の技術上の管理をつかさどるものとして、 「主任技術者」を工事現場に配置しなければなりません。
 これは下請であっても配置が必ず必要です。元請だけが配置すれば良いと勘違いしている方をたまに見かけますが、間違いです。
 そして、発注者(施主)から直接工事を請け負い(元請) 、そのうち合計3,000万円(建築一式工事業の場合は4,500万円)以上を下請契約として下請業者に出す工事を施工する場合には、主任技術者ではなく「監理技術者」を配置しなければなりません。
 この3,000万円は1社あたりの下請金額ではなく、複数の下請業者に出す下請工事の合計金額であることがポイントです。

【 監理技術者等の要件は? 】

 主任技術者の要件は、以下のとおり一般建設業の専任技術者の要件と同一です。
 @ 土木施工管理技士や建築士などの国家資格者
 A 許可を受けようとする建設業の工事について、所定学科を高卒で卒業後5年、大卒で卒業後3年以上の実務経験を有する者
 B 許可を受けようとする建設業の工事について、10年以上の実務経験を有する者

 監理技術者の要件は、以下のとおり特定建設業の専任技術者の要件と同一です。
 @ 土木施工管理技士や建築士などの国家資格者(1級のみで2級は不可)
 A 一般建設業の場合の資格要件に該当し、かつ、許可に係る建設業の工事について、元請として4500万円以上の工事を2年以上指導監督した実務経験者
 B @又はAと同等以上の能力があると認められる者
 (ただし、特定建設業のうち指定建設業(土木、建築、電気、管、鋼構造、舗装、造園)は@か@と同等以上と認定された者でなければなりません。 )

【 監理技術者等の専任が必要な工事とは? 】

 前回の専任技術者のときにも書きましたが、専任を要する工事とは、「公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な工事」となっており、請負金額2,500万円(建築一式工事は5,000万円)以上のもので、個人住宅を除いたほとんどの工事が対象になります。
 この現場専任制度は、元請下請にかかわらず適用されます。

【技術者配置の具体例 】

 ○元請業者である場合
 ・下請業者に出す工事の合計が 3000 万円以上の場合・・・監理技術者(特定許可が必要)
 ・下請業者に出す工事の合計が 3000 万円未満の場合・・・主任技術者(特定でも一般でも可)

 ○下請業者である場合
 ・工事金額にかかわらず、主任技術者を配置
 ・下請工事が軽微な工事(500 万円未満)の場合であっても主任技術者を配置
 ・孫請業者に合計 3000 万円以上を出す場合であっても、主任技術者を配置

 上記からわかるように、元請業者で特定建設業許可が必要な工事(下請業者に出す工事が3,000万円以上)を施工する場合に監理技術者の配置が必要で、それ以外は主任技術者置が必要ということです。ちなみに、建設業許可を取得しておらずに軽微な工事(500万円未満)のみの施工を行う建設業を営む者は、主任技術者を配置する必要はありません。

 ここまでに3,000万円、4,500万円、2,500万円、500万円などの請負金数字が出てきましたが、これらは消費税込みの金額です。なお、現在国土交通省ではこれら額について、物価変動などの理由により引き上げる予定のようです。

【 最後に 】

 今回は監理技術者等について取り上げましたが、次回は監理技術者の「監理技術者資格者証」と「監理技術者講習」などについて取り上げてみようと思います。

回答者 特定行政書士 久々宮典義
一般貨物運送業 建設業 建設関連業 産廃収集運搬業 宅建業などの各種許認可申請
くぐみや行政書士事務所  特定行政書士 運行管理者(貨物) 久々宮典義
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