前回取り上げました1月15日に発生したスキーバス(貸切バス)の転落事故について、2月2日に一般貸切旅客運送事業許可の取消処分に係る聴聞手続きの実施について発表がなされました。この発表の際に特別監査において確認された法令違反事項も発表されました。今回はこの内容をとりあげてみようと思います。
【特別監査 】
1月15日(金)午前1時59分頃に事故が発生し、同日の午後から3日間特別監査に入ったと前回お知らせしましたが、更に1月29日にも特別監査に入っているようです。
計4日間洗いざらい調べ上げられたようです。
国土交通省関東運輸局は今回の監査の結果、違反点数が基準点(81点)以上になったので、許可の取消をすべきとの判断に至り、許可取消処分の前に実施することが行政手続法で規定されている「聴聞」を2月19日(金)に実施することになりました。
【発表された法令違反事項】
1. 運行管理者の虚偽の届出をしていたこと
2. 運転者の過労防止に関する次の措置について、不適切であったこと。
・所定の拘束時間を超えて勤務していた者があったこと。
・仕業間の休息を十分とらずに乗務していた者があったこと。
3. 運転者の健康状態の把握が不適切であったこと。
4. 運行に関する状況の把握等のための体制の整備が不適切であったこと。
5. 点呼の実施及び実施結果の記録が不適切であったこと。
6. 点呼の実施結果の記録の不実記載をしていたものがあったこと。
7. 乗務記録がなかったこと。
8.乗務記録に次の事項が記録されていないものがあったこと。
・乗務の終了の日時 ・運転者を交替した時点及び日時
・休憩、仮眠をした地点及び日時 ・着地の睡眠施設の名称及び位置
・ 旅客が乗車した区間
9.運行記録計の記録を怠って運行していた事業用自動車があったこと
10.運行記録計による記録を1年間保存していなかったこと
11.事故の記録をしていなかったこと。
12.運行指示書について、次の記載がされていないものがあったこと。
・運行の開始及び終了の地点及び日時
・運行上注意を要する箇所
・乗務員の休憩施設及び休憩時間
・乗務員の運転又は交替の地点
13.運転者に対する国土交通大臣が告示で定める輸送の安全確保についての指導監督が不適切であったこと。
14.運転者に対し、国土交通大臣が告示で定める適性診断(初任、高齢)を受けさせていなかったこと。
15.運転者に対する国土交通大臣が告示で定める特別な指導(高齢)が不適切であったこと。
16.日常点検整備を確実に実施していない事業用自動車があったこと。
17.整備管理者の虚偽の届出をしていたこと。
18.定期点検整備を確実に実施していない事業用自動車があったこと。
19.定期点検整備記録簿の記載が不適切であったこと。
20.運行管理者に対し適切な指導監督をしていなかったこと。
21.事故報告書の提出を怠っていたこと。
22.適正な運賃収受をしてなかったこと。
23.認可を受けないで事業計画の変更を行っていたこと。
24.営業所ごとに配置する事業用自動車の数の変更届出を怠っていたこと。
25.発地及び着地のいずれもが営業区域外に存する運送を行っていたこと。
26.運送引受書について、次の事項が記載されていないものがあったこと。
・乗務員の休憩地点及び休憩時間 ・乗務員の運転又は交替の地点
・運賃及び料金の額・支払方法 ・その他国土交通大臣が告示で定める事項
27.運賃又は料金の計算基礎を記載した領収書を発行していないものがあったこと。
28.運行経路における道路及び交通の状況について事前調査を怠っていたこと。
29.乗務員台帳について、次の事項に関する措置が不適切であったこと。
・作成番号 ・作成年月日 ・事業者の氏名又は名称
・運転者の免許証の有効期限 ・運転免許の年月日及び種類 ・運転免許の条件
・運転者の健康状態 ・写真の貼付
30.乗務員台帳を作成していないものがあったこと。
31.運転者台帳を3年間保存していなかったこと。
32.事業用自動車内に、運転者その他の乗務員の氏名を掲示していなかったこと。
33.休憩、仮眠又は睡眠のための施設の変更届出を怠っていたこと。
いかがでしょうか?確かにずさんな管理であるとは思いますが、ここまで調べ上げるかというくらい調べ上げていると思います。紙面がなくなりましたので、来月号で内容について触れようと思います。来月号を執筆する時には聴聞の結果も出て行政処分が決定していると思います。
回答者 特定行政書士 久々宮典義
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