前月号で旅行業違反の事例について取り上げてみましたが、今回は旅行業に該当しない事例を取り上げてみたいと思います。
前月号の旅行業法違反の事例と併せて理解していただき、法律違反をしないようにしていただきたいと思います。
【旅行業とは】
前月号でも述べましたが、旅行業についてもう一度おさらいをしたいと思います。
簡単にいうと、@報酬を得て A旅行業務を行う B事業 のことです。
旅行業務の定義としては、 『報酬を得て、旅行者と運送・宿泊サービス提供機関の間に入り、旅行者が「運送又は宿泊のサービス」の提供を受けられるよう、複数のサービスを組み合わせた旅行商品の企画や個々のサービスの手配をする行為』となります。
「運送又は宿泊のサービス」とは、運送事業者、宿泊事業者により、事業として提供されるサービスを言い、 「宿泊のサービス」は、旅館業法に基づく「旅館業」に該当するサービスを指します。
【 旅行業に該当しない事例】
@相互に日常的な接触のある団体内部で参加者が募集され、当該団体の構成員による参加者の募集(例1)同一職場内で幹事が募集する場合
(例2)学校等により生徒を対象として募集する場合
※「日常的な接触」とは、互いに顔見知りであるかどうかが基準になります。
A運送、宿泊のいずれも関係しないサービスの提供
(例1)日帰りで現地集合・現地解散する(運送機関の手配をしない)動植物観察口座を募集する場合
※「昼食代」 「入場料」 「施設体験料」などは旅行業における一定の行為に当てはまらない。
運送宿泊サービス以外のサービスの提供(食事の提供、入場料など)は運送宿泊サービスに付随して取り扱う場合に限り、 「旅行業」となります。
つまり、運送も宿泊のサービスは行わず、食事や観光などのみで完結する場合は、旅行業の定義をはずれ、旅行業法の適用を受けません。
【 旅行業者以外の個人・団体が関係する場合の取扱い 】
旅行業者でない者は、旅行の募集・実施・契約等締結をすることはできませんが、 「旅行の企画」をすること自体が全く許されない訳ではなく、旅行業者でない者が旅行計画を立案し、旅行業者に募集・実施させることはできます。この場合でも、旅行業者でない者が旅行者から直接料金を収受することはできません。
【 旅行業者でない者が関係する場合の企画旅行募集広告の表示 】
○交流ツアーの例(交流行事・・イベント事業者が実施、旅行企画・実施・・・旅行業者が実施)
例@ 旅行の企画・実施者を旅行業者のみとし、費用も全額を旅行業者に支払う
共同企画 イベント事業者、旅行業者
旅行企画・実施 旅行業者
費用 全費用
費用支払先 旅行業者
例A 費用、責任をイベント部分と旅行企画・実施分に分けて表示
イベント企画 イベント事業者
旅行企画・実施 旅行業者
費用 イベント参加費用と旅行費用を分離表示
費用支払先 旅行費用については旅行業者
例B 旅行の企画・実施部分を含まない企画にしてしまう
イベント企画 イベント事業者
費用 イベント参加費用のみ
旅行についての表示例
イベント参加者は○○旅行業者が旅行企画・実施する××ツアーに(△△円)
に参加することができます。 (別途旅行業者に申し込んでいただきます。 )
旅行の企画・実施部分については、旅行業者が全責任を負うことが必要です。旅行の問い合わせ、申込先、旅行代金の支払先は旅行会社とすることが必要です。
回答者 特定行政書士 久々宮典義
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