数回にわたり旅行業の登録や旅行業違反の事例、旅行業に該当しない事例、旅行会社が破産した場合の救済措置などを取り上げてきましたが、今回は行政庁に旅行業の登録をする際には必ず設置が必要な「旅行業務取扱管理者」についてご説明したいと思います。
【 旅行業務取扱管理者の選任 】
旅行業法第11条の2 第1項
旅行業者又は旅行業者代理業者は、営業所ごとに、1人以上の第5項の規定に適合する旅行業務取扱管理者を選任して、当該営業所における旅行業務に関し、その取引に係る取引条件の明確性、旅行に関するサービスの提供の確実性その他取引の公正、旅行の安全及び旅行者の利便を確保するため必要な国土交通省令で定める事項についての管理及び監督に関する事務を行わせなければならない。
旅行業法第11条の2 第5項
旅行業務取扱管理者は、第6条第1項第1号から第5号まで(欠格事由)のいずれにも該当しない者で、次に掲げるものでなければならない。
@本邦内の旅行のみについて旅行業務を取り扱う営業所にあっては、次条の規定による総合旅行業務取扱管理者試験又は国内旅行業務取扱管理者試験に合格した者
A前号の営業所以外の営業所にあっては、次条の規定による総合旅行業務取扱管理者試験に合格した者
つまり、旅行業務取扱管理者には「国内」旅行業務取扱管理者と「総合」旅行業務取扱管理者の2種類があり、国内旅行のみを取り扱う営業所には国内旅行業務取扱管理者を設置し、海外旅行のみを取り扱う営業所、もしくは海外旅行と国内旅行を取り扱う営業所には総合旅行業務取扱管理者を設置しなければなりません。
そして、その営業所の旅行業務取扱管理者として選任した者のすべてが欠格事由に該当し、または選任した者のすべてが欠けるに至つたときは、新たに旅行業務取扱管理者を選任するまでの間は、その営業所において旅行業務に関し旅行者と契約を締結してはならないとされています。
この規定は、旅行業務を取り扱う者が1人である営業所についても適用があります。
なお、旅行業務取扱管理者は、他の営業所の旅行業務取扱管理者となることができません。
【 旅行業取扱管理者試験の内容は? 】
試験は観光庁長官が毎年1回行い、試験の実施は以下のとおりとなっています。
○国内旅行業務取扱管理者
・全国旅行業協会により例年9月に実施
・試験科目は、@旅行業法及びこれに基づく命令 @旅行業約款、運送約款及び宿泊約款 B国内旅行実務など
・前年度の「国内旅行実務」で合格点に達した者は同科目の受験が免除になっています。
○総合旅行業務取扱管理者
・日本旅行業協会により例年10月に実施
・試験科目は、@旅行業法及びこれに基づく命令 A旅行業約款、運送約款及び宿泊約款 B国内旅行実務 C海外旅行実務など
・国内旅行業務取扱管理者試験に合格している者は「旅行業法」 「国内旅行実務」の2科目の受験を免除されます。また、前年の総合旅行業務取扱管理者試験で不合格になった者のうち、 「国内旅行業務」 「海外旅行業務」の合格点を満たしていれば、その科目のみが免除になります。
【 試験の合格率は? 】
国内旅行業務取扱管理者試験は30%前後の合格率です。
一方、総合旅行業務取扱管理者は全科目(4科目)受験での合格率は15%前後と難易度が高くなっています。
【 終わりに 】
この旅行業務取扱管理者は、2006年の法改正の前までは旅行業務取扱「主任」者という名称でした。国内旅行業務取扱管理者は国内旅行業務取扱主任者でしたが、総合旅行業務取扱管理者は「一般」旅行業務取扱主任者という名称でした。
何を隠そう私、実は国内旅行業務取扱主任者の資格を持っています。大学生の時に合格しました。
まったく何の役にも立っていませんが(笑)
回答者 特定行政書士 久々宮典義
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